悪路を激速で走るタイヤってどんなもの? じつは公道走行も可能な「ダートタイヤ」の中身をプロドライバーに聞いてみた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ダートトライアルではダートタイヤというものが使用される

■ヨコハマタイヤとダンロップが供給している

■それぞれを使用する選手たちにフィーリングについて聞いてみた

ダート用タイヤってどんなタイヤ?

 全日本ダートトライアル選手権の最終戦となる第8戦が10月12〜13日、広島県のテクニックステージ・タカタで開催。各クラスで激しいバトルが展開されていたのだが、果たしてダートトライアルに使用されているタイヤはどんなタイヤなのか?

 というわけで、ここでは少々マニアックなダート用タイヤの基礎知識を紹介したい。

 まず、基本的にダートトライアルで使用されているタイヤとラリーのグラベル戦で使用されているタイヤは同一のもので、現在はヨコハマとダンロップの2メーカーがタイヤを供給。各メーカーのグラベル用タイヤは3種類で、ドライ、ウエット、そしてスーパードライと呼ばれる超硬質ダート用のタイヤがラインアップされている。

 文字どおり、ドライは路面が渇いているとき、ウエットは雨天により路面が濡れているとき、スーパードライは路面を覆う砂利が掃けて硬い地盤が出たときに使用するタイヤとなっているが、ヨコハマとダンロップでタイヤの特性が結構異なっているようで、実際には雨天時でもドライタイヤで走行したり、路面が乾いていてもウエットタイヤで走るケースも少なくはない。

 各ドライバーは刻々と変化するコンディションや自分のドライビングスタイル、マシンのセッティングを考慮しながらタイヤ選択を行なっているのだが、各メーカーのタイヤにはそれぞれどのような特徴があるのか、トップドライバーに解説してもらった。

 まず、ヨコハマではドライ用タイヤとして「ADVAN A053」、ウエット用タイヤとして「ADVAN A031」、超硬質ダート用タイヤとして「ADVAN A036」がラインアップされているが、HKSランサーエボリューションを武器にDクラスで3勝をマークし、チャンピオンに輝いた田口勝彦選手は「ドライ用のA053はオールマイティなタイヤで、コントロール性が高いです。タテ方向だけでなく、斜め方向に対してもコントロール性が高いので、僕の場合はドライだけでなくウエット路面でも使用しています。ラリー競技で10km以上のロングSSを走る場合はタレてきますが、タレてきてもガクンとタイムが落ちることはないですし、5〜6kmぐらいなら問題ない。一番、使用頻度の高いタイヤです」と解説。

 さらに「A036は気温が低くても、すぐにブロックが動いてグリップしてくれるし、トラクションもブレーキもタテ方向がすごくいい。ラインを外さなければ確実にタイムが出るし、ヒルクライム競技など舗装のワイディングでもかなりいいタイムが出ますからね。ラリー競技では使用しませんが、第2ヒートで勝負をかけるときは必ず使用しています。ウエット用のA031は排水性がいいので、水たまりができるぐらいのハードウエット時に装着しますが、それ以外はあまり使わないですね」と田口選手は各タイヤの特徴を解説してくれた。

 ちなみに最終戦のテクニックステージ・タカタで田口選手は惜しくもDクラスで4位に敗れたが、SC2クラスに目を向けると、YH栗原オート企画インプレッサを駆る亀田幸弘選手が、A036を武器に今季4勝目を獲得し、チャンピオンに輝いている。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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