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クルマの補機バッテリー「鉛蓄電池」はなんと19世紀の誕生! いまでも「現役」な理由と電池の仕組みとは?

クルマの補機バッテリー「鉛蓄電池」はなんと19世紀の誕生! いまでも「現役」な理由と電池の仕組みとは?

この記事をまとめると

■クルマの鉛バッテリーは1859年にフランスの科学者ガストン・プランテが発明した

■鉛のリサイクルが確立しているので鉛バッテリーは環境負荷も最小限だ

■リチウムイオンバッテリーは鉛酸バッテリーとまったく異なる仕組みで充放電を行う

化学反応によって電気を発生する鉛酸バッテリー

 クルマの始動などに欠かせない鉛バッテリーは、1859年にフランスの科学者であるガストン・プランテが発明した。以来、基本的に変わらない充放電のできる蓄電池だ。これが、21世紀の今日においても、エンジン車、電気自動車(EV)を問わず利用されている。

 12Vバッテリーといわれたり、鉛バッテリー、あるいは鉛酸バッテリーなど、いろいろな呼び方をされるが、いずれも同じバッテリーを指している。

 仕組みはとても簡単だ。正極と負極に鉛板を用い、これを電解液の希硫酸に浸すことで、まず鉛が化学反応を起こして硫酸鉛という物質に替わる。その後、販売する前にゆっくり充電して準備をする。電気を流して充電することを通じて、負極に電子を送ることで、鉛と硫酸が化学変化する。正極は、電子を負極へ送ったことで、硫酸鉛が二酸化鉛と水素と硫酸に分離される。こうして、充電された状態になる。電気を使うとき、つまり放電では、逆の化学反応により電子が正極側へ移って、電気が流れる。

 電極の硫酸鉛が、化学反応によって二酸化鉛に替わるという物質の変化と、正負極間で電子が移動することにより、充電や放電が行われる。

 この化学変化をする際に、電解液が電気分解によって水素ガスと酸素ガスを発生し、これによって、使っているうちに電解液がガス化して減っていく。電解液を補充するのは、そのためだ。

 硫酸は、肌につくとやけどをするくらい危険性を帯びた無色無臭の液体だ。それを薄めたのが電解液の希硫酸で、これと普遍的な鉛という金属で構成されるバッテリー方式のため安価につくれる利点があり、広く普及している。鉛のリサイクルも確立しており、使い終えたバッテリーは環境負荷も大きくなりにくい。

 こうして、19世紀の発明が21世紀の今日まで活用されているのだ。

 ただ、バッテリー性能としては、バッテリーの最小単位である1セルで2Vほどの電圧なので、クルマ用の場合は6セルを一組として2V×6セルで、12Vバッテリーとしている。そして、エンジン始動やライト点灯、空調、音響など、補器類の電源に用いている。

 ディーゼル車はディーゼルエンジンの圧縮比が高いので始動時により強い力が必要なため、12Vバッテリーを2個つなげて、24Vとして利用している。

 電気自動車(EV)などで使われるリチウムイオンバッテリーは、鉛酸バッテリーとまったく異なる仕組みで充放電を行うほか、1セルの電圧が4ボルト近くあるため、高性能であるとされる。また、充放電を繰り返した際の劣化も鉛酸バッテリーより少ない。

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