三事業部が完全統合されてより強固な組織となる!
クルマの楽しみ方のひとつに、カスタムがある。ときに見た目を飾り、ときに好みの性能に近づけるためにチューニングし、用途に応じて利便性を追求するために、愛車をカスタムするオーナーは多い。
このように「カスタム」という言葉を使うと、一般の自動車ユーザーからは縁遠いものに感じるかもしれないが、たとえば冬季にスタッドレスタイヤを装着する際、値段や性能でタイヤを選んだり、スタッドレス用のホイールを新たに買うと考えたらいかがだろうか? また、たとえば劣化した灯火類を交換したり、ワイパーを換えるといったことは、クルマに乗っている以上誰もが経験することだ。
このようなときに、重宝するのがアフターパーツ。メーカーの純正パーツでは出せない性能をもっていたり、種類の豊富さで自分だけの愛車を手に入れるという意味では、自動車市場において重要な意味をもつ。
一方でクルマというのは複雑な機械であり、また一歩間違えると凶器になるほどのエネルギーの塊であるため、慎重に扱わなければならない。先ほどのアフターパーツへの交換や装着も、安全を意識しなければならないのだ。だが一般の人にとって、数あるアフターパーツをみたときに、「何が安全で安心なのか」を見極めることは不可能に近いといえるだろう。
一般ユーザー目線から見ての、そうした事態に対応すべく存在する団体がNAPAC(一般社団法人 日本自動車用品・部品アフターマーケット振興会)だ。NAPACは2004年に発足。同様の意義をもって活動していた、スポーツパーツの団体であるASEA(オートスポーツ・アンド・スペシャル・イクイップメント・ アソシエーション)と、アルミホイールの団体であるJAWA(ジャパンライトアロイホイールアソシエイション)が統合して発足した。さらに、マフラーの団体であるJASMA(日本自動車スポーツマフラー協会)が2022年に加わり、より大きな組織として運営されている。
NAPACの目的は、簡単にいえば自動車用品や部品のアフターマーケットでの振興を図り、クルマ社会の安全と発展を目指すものである。現在163社が会員となっていて、ユーザー目線からみれば、NAPAC会員メーカーやショップのパーツであれば、安心して使用できると考えればいいだろう。
そのNAPACだが、もともとの3団体であるASEA、JAWA、JASMAが3事業部という形で運営されていたのだが、2024年10月22日に行われたNAPACの総会で、3事業部の垣根を取り払って完全に一本化することが発表された。この改革により、アフターパーツ業界はさらに発展することになり、また、規制などを行う行政への意見だしもさらに活発なものになるだろうことが期待される。
総会後には記者会見が行われ、その冒頭でNAPAC会長の共豊コーポレーション社長、中嶋敬一郎氏は、「前任の高瀬会長のころから、完全統合については何度も話し合いが行われ、やはり我々としては完全統合が夢であった」と語った。
そして我々としてもっとも気になるのは一般ユーザーにどんな影響があるのかだ。質疑応答においてその質問を投げかけた。
「多くのお客さんはASEAは知らなくてもNAPACは知っている。(JAWA・JASMAと)3団体が統合するにあたって、宣伝効果がより強くなると思っている」(副会長:柳田春人氏)。
「ユーザーからみたときにパーツという捉え方をすると、アルミホイールもマフラーもすべてがパーツ。我々のほうだけでカテゴリーを分けていた。カテゴリーをわけているがゆえに、それぞれの事業部のなかで話し合いをしていくから、どうしても横断的なパーツ全体としての話ができていなかった。でもユーザーはカスタマイズ、ドレスアップをするとなると、色々なパーツを付けていく。それをふまえると、ひとつになることでシナジー効果が生まれると思っている」(会長:中嶋敬一郎氏)。
「規格工法という部分では、JAWA基準、JASMA基準という、基準の告知活動にも使えると思っている。いままで別々に、個別に活動していたものが一体になることで、より大きな普及活動に繋げることができるようになり、より明確にNAPACとして基準をもっているんだということを告知することで、アフターマーケットのパーツとして、よりわかりやすい情報になると思っている」(副会長:田中知加氏)。
「一般ユーザーから見たときに、これまではパーツごとに『どこに相談しにいったらいいの?』ということがあった。これからはアフターパーツものはすべてNAPACというところで調べていただいたり、どういうメーカーが所属しているのだとか、どういう基準でもの作りをしているのだとか、そういったことがわかりやすくなると思う」(副会長:鈴木高之氏)。
また、会計上、”お財布”がひとつになるということで、より大きな活動を行うことができるという点については、「いまNAPAC走行会を1日2時間でやっているところ、まる1日借りて、より大きな『NAPAC祭り』をやりたい、そういう構想はある」(副会長:柳田春人氏)、とのコメントがあった。
冒頭でも述べたが、自動車のアフターパーツは、けっして一部のカスタムやチューニングを趣味とするマニアだけに関係するものではなく、さらにいえばクルマ好きのみならずほとんどの自動車ユーザーに関係するものなのだ。誰もがより快適で豊かなカーライフを送るために必要不可欠なアフターパーツ市場。今回のNAPACの改革は、より安心・安全なパーツがわかりやすくセレクトでき、充実したカーライフが促進されるという意味において、ユーザーにも少なからずメリットがあるハズだ。NAPACからの情報発信に注目してほしい。