ハの字タイヤに横向きマフラー……普通の人からみたら「違法っぽいクルマ」だけどそりゃ偏見! じつは合法なクルマのカスタム3つ (2/2ページ)

複雑な基準によって合法にも非合法にもなる

往年の「街道レーサー」の象徴のひとつ「サイド出しマフラー」

 マフラーの「サイド出し」と聞いてワクワク感が生まれる人は、その昔にレースが大好きだったか、かなりヤンチャしていたかのどちらかでしょう。

 1970〜1980年くらいにかけて、当時多くのクルマ好きの心を魅了していたツーリングカーレース(市販車をベースに改造したレース)では、排気効率の追求から、助手席のすぐ後ろのボディサイド下部にマフラーの出口を設けるマシンが多く走っていました。

 大音量の排気音を奏でながら、シフトダウンのときに派手なバックファイアの炎を上げるシーンに憧れ、改造が大好きなヤンチャ系の人たちがそれを自分のクルマで真似るのが流行りました。その憧れの大きさに加えて、公道では明らかに違反している姿であることと加工の手間の大きさなどから、「サイド出しマフラー=ヤバい(カッコイイ)」という認識がありました。

 そこから40年ほどの時が過ぎた2017年の6月に、驚くことに、「ヤバさ」の象徴だったサイド出しマフラーが解禁となりました。解禁以前では「排気管の開口方向に係る基準」という項目があって、大まかにいうと下記の2点が定められていました。

・右向き(または左向き)に開口していないこと
・マフラーカッターの設置角度が車両中心から見て左右30度以内であること

 この項目がまるっと撤去されたため、マフラーの開口方向に関する縛りはほぼなくなりました。“あの”サイド出しマフラーが合法的に実現できるようになったんです。

 ただし、ハミ出しに関しては明確な規定はないものの、「他の交通の安全を妨げるものはNG」という規定があるので、安全を脅かす恐れがある鋭利な形状は外装全体の規定に沿ってNGですし、いわゆる「竹ヤリ」状態はしっかり図示でNGとされています。

 往年の「ヤバい」サイド出しマフラーは、爆音とド車高短とセットだったので、いまの基準に適合したサイド出しがその基準に認められるかどうかは疑問です。

“着地”するほどの低車高を見せつける「エアサス」車

 一般に「エアサス」というと、バスやトラックなどでソフトな乗り心地を実現するためのサスペンションシステムという認識の人が多いと思いますが、カスタムの世界で「エアサス」というと、低い車高と実用性を両立させるためのアイテムという認識が強いと思います。

 カスタム用の「エアサス」の最大の特徴が、エア圧で車高を任意に調整できるというものです。

 車体を支えて路面からのショックを逃がす役割のスプリングの代わりに、ゴム製のエアバッグを備えたのが「エアサス」です。バスなどのエアサスではエアの圧力を高めると乗り心地が硬くなりますが、カスタム系のエアバッグは少し特殊で、エア圧によってエアバッグの長さが変わる構造になっていて、手元のコントローラーで車高を変化させられます。

 その機能を活用して、イベントなどの車高を低く見せたいときにはエア圧を低くして車高を限界まで下げ、普段乗りのときは荒れた路面や歩道の乗り上げでも腹を擦らないように、エア圧を高めて車高を上げるという使い方ができます。

 さて、この「エアサス」は公道での使用が“合法”なのでしょうか? この点については解釈によって微妙な部分を含んでいますが、基本的には車検証の車高から上下4cmの範囲内で最低地上高より低くできない状態であれば構造変更も必要なく“合法”となるようです。エアサスのキットによってはそういう機能限定の仕様で販売しているものもあるようです。

 ですので、車検を通したあとで“着地”できる、あるいは9cm以下の最低地上高に下げられる状態で公道を走るのはNGとなります。

 3つの項目すべてにいえるのは、昔だったら真っ先に検挙されるような内容のカスタムが法の範囲内で行えるようになった一方で、イベントなどで「カッコイイ!」「ヤバい!」といわれるような過激なスタイルにするには、車検が通る状態のままでは難しいということです。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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