もうクルマから降りたくない! 1990年代にオーナーを陶酔させた「唯一無二」のインテリアの国産車7台 (2/2ページ)

高級感やアイディアで戦ったインテリアも

4)トヨタ セルシオ(10系)

・生産期間:1989年10月~1994年9月
・新車価格:455万〜653万円

 当時を知る人であれば、1989年10月に初代「セルシオ」がデビューしたときの衝撃、そして強烈さに驚き、憧れを抱いたのではないでしょうか。世界の名だたるメーカーと渡り合える国産車として、日本のクルマを新たなステージへと引き上げ、導いたモデルであることは間違いありません。

 高級車としての質感(灰皿のフタの開閉にもこだわった)やセンターコンソールに整然とレイアウトされたスイッチ類、視認性に優れたメーターパネル、ダッシュボードやシートの手触り、そして質感。さらには職人が仕上げた本木目のウッドパネル……。日本車のひとつの完成形、到達点ともいえる存在が初代セルシオなのです。

5)マツダ ユーノスコスモ

・生産期間:1990年4月~1995年8月
・新車価格:330万〜532.5万円

 世界初となる3ローターエンジンを搭載する市販車として1990年4月にデビューした「ユーノスコスモ」。伸びやかかつ美しいクーペフォルム、そして、曲線で構成された内装は、成熟した大人でなければ似合わない(着こなせない)雰囲気に満ちあふれていました。

 オーディオやエアコンなどのスイッチ類を隠す「フタ」が用意されているなど、名実ともに高級車に相応しい仕立て、そして日本車離れした圧倒的な色気を持つユーノスコスモ。今回の記事のテーマが決まったとき、真っ先に取り上げたいと思ったのがこのクルマでした。

6)トヨタ エスティマ(10/20系)

・生産期間:1990年5月~1999年12月
・新車価格:249.8万〜366.8万円

 日本において「ミニバン」というキーワードが現在ほど一般的でなかった1990年5月にデビューした「天才タマゴ」こと初代「エスティマ」。当時、その斬新すぎるフォルムに驚いた人も多かったはず。

 それは内装についても同じ。まるでコンセプトカーのような、センターコンソールが前面に張り出した曲線基調のインパネ、ゆったり座れるヘッドレスト一体型のシート(しかも、セカンドシートは回転してサードシートと向かい合わせになり対面シートにもできた!)。カップホルダーもなければファーストクラスのような豪華なシートでもないけれど、ワクワク感に満ちあふれた仕立てとなっています。

7)日産フィガロ

・生産期間:1991年2月~1992年12月
・新車価格:187万円

 パオのあとを受け継ぎ、日産の「パイクカー」シリーズの第3弾として1991年2月に発売された「フィガロ」。当時、増産に次ぐ増産で計2万台の限定生産にもかかわらず注文が殺到し、抽選販売になったほどの人気ぶりでした。番組が終了して10年経つ「笑っていいとも」の名物コーナー、「テレフォンショッキング」に出演していた女優さん(タレントさんだったかも)が、「私、フィガロ当たったんです!」と自慢していたことを覚えています。

 このフィガロ、プロモーションに際して短編映画まで作られたのだから、予算と力の入れ具合が半端ではなかったことが分かります。白基調の内装、そして本革のシート、ボディと同色のインパネ、アイボリーのキャンバストップ……。このクルマのコンセプトである「日常の中の非日常」が、当時は車両本体価格187万円で手に入れられたのだから、当選した人は歓喜したに違いありません。

運転中の視界に映るのは外装ではなく内装

 自身の愛車を選ぶ際、外装のデザインが決め手になると同時に、内装も判断基準になっていることも多いのではないでしょうか。運転席に座っていて、常に視界に入ってくるのは内装、それもインパネやメーターパネル周辺が主です。内装のデザインや質感、色が決め手になっても何ら不思議ではありません。何しろ、運転中の視界に映るのは、外装ではなく、内装なのですから。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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