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現行ラパンのデザインはなんと「60年前のクルマ」がモチーフ! 旧車「スズキ・フロンテ」はデザインのプロを唸らせるセンスの塊だった

現行ラパンのデザインはなんと「60年前のクルマ」がモチーフ! 旧車「スズキ・フロンテ」はデザインのプロを唸らせるセンスの塊だった

この記事をまとめると

■ラパンLCはフロンテ360(LC10型)をオマージュしている

■フロンテ360(LC10型)は1967年に登場した軽自動車だ

■スポーティで可愛い愛くるしいエクステリアが特徴だった

未だにリスペクトされる60年前の軽自動車

 人気の特別仕様車「ラパンLC」のモチーフとして話題になった、スズキ・フロンテ360(LC10型)。同社の軽自動車黎明期を支えた名車ですが、いまでも多くのクルマ好きから「カワイイ!」と評判です。ではこのクルマにはどんな魅力があるのか。今回はエクステリアデザインからその理由を紐解いてみたいと思います。

●RRらしさを生かしたユニークなボディシルエット

 スズキは、日本初の軽4輪乗用車として1955年にスズライトを発売しますが、その後に登場したスバル360が高い居住性と走行性能で市場を席巻。これに対し、スズライトフロンテで軽市場に再参入したスズキが、本格的なモータリゼーションの到来と、高速道路での巡航に対応すべく、1967年に送り出したのがフロンテ360です。

 そのスタイリングの魅力は数多くありますが、まずなんといってもセミファストバック風のシルエットがイチバンに挙げられます。居住性と高速巡航を意識したRRレイアウトにより設けられたリヤの短いノッチと、ビッグキャビンのボディ部との組み合わせが、スポーティでありつつ、どこか愛らしさも兼ねたユニークなファストバックスタイルを生んだのです。

 もちろん、各部分にも魅力が満載。フロントでは、メッキのリングに囲まれてクッキリしたランプがクルマ全体のキュートな佇まいを決定付けています。基本的には先代に準じた顔付きですが、同じく丸型のコーナリングランプと楕円のグリルが新しい表情を作っているのです。

●軽規格を感じさせない豊かなフェンダー

 次にボディの側面を見ると、低い位置に引かれたキャラクターラインによってボディが上下2段構造になっていますが、上下いずれの面も豊かな張りが特徴で、これもまたボディ全体を柔らかな表情に見せています。もちろん、軽らしからぬ抑揚あるベルトラインや豊かなフェンダーは、いわゆるコークボトルラインがガッツリ効いているところです。

 リヤセクションは、尻下がりの短いノッチの丸さがメチャクチャ愛らしいですが、同様に丸みのあるフェンダーのエアアウトレットが、じつにいいアクセントになっています。さらに、ヘッドライトに合わせた丸型のテールランプも、リヤの可愛い表情を倍増させています。

 こうしてフロンテ360のエクステリアデザインをチェックすると、60年代という時代や軽規格の制約などは一切感じられず、コンパクトなボディにじつに多彩な魅力が盛り込まれていることに驚きます。実際、60年後の新型車のモチーフとなることがその魅力の証ですし、いまだに根強い人気があるのも納得です。

 ちなみに、スズキは今年の7月に「10年先を見据えた技術戦略」を発表し、同社の行動理念である「小・少・軽・短・美」を軸とした計画を提示しました。高速時代を迎え、「より軽く」「より速く」を掲げて開発されたフロンテ360は、すでにその理念をデザインで体現していたことにも注目するべきでしょう。

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