コロナ禍あたりから増えてきた「展示車」「試乗車」の販売! 潜む「リスク」と「お得に買うコツ」 (2/2ページ)

展示車と試乗車上がりの中古に潜むリスク

 その後、販売用と分けて仕入れるようにするほど展示車販売に慎重だったのに、いまになって「展示車なら」ということになっている背景は、数年前の全世界的な新車の深刻な納期遅延のときに、「展示車でもいいから売ってくれ」というお客が目立ったことがまだ尾を引いていることも大きいようだ。

 販売を前提としていることもあるのか、「オーディオレス」が標準状態の車両では、展示車でもオーディオスペースが空洞のままとなっていることもかなり多い。ただし、試乗車はそういうわけにはいかないので、何かしらのカーナビが装着されている。

 すべてのディーラーがということは確認していないが、聞いている限りでは、販売用と展示及び試乗用に仕入れる際では、メーカーからの仕入れ価格に差があるとのこと。もちろん、展示・試乗用のほうが仕入れ価格は安くなるようだ。そして展示車ならば、一定期間展示後ナンバープレートをつけ、試乗車も一定期間後その役目を終えたら、自社の中古車展示場で中古車として販売するというのが一般的な流れとなっている。

 展示車の場合はとくに不動状態で長らく展示しているので、バッテリーの乗せ替えはもちろん、さまざまな部分のチェックを行ってから未使用中古車、あるいは新車として販売されるのも一般的なようで、何もしない現状販売といった体制は敷かれていないと見ていい。

 試乗車についても、セールスマンには運転させない(使い方が荒い?)、試乗車としての使用期間の走行距離の厳密な管理、車内禁煙は当たり前とするなど徹底した管理が行われているので、試乗車上がりといえど、状態は極めていいようである。いまでは、展示車や試乗車あがりの中古車をお得に乗り継ぐといった人もいるようである。

 前述したように、仕入れ価格に差があるのならば、展示車を購入する際には一般的な車両よりも目立って値引きが拡大されてしかるべきと考える。また、中古車にしても、そもそものスタート地点(新車価格)が異なるのだから、それなりに減価償却されたものをベースとした中古車価格になるべきものと考える。

 つまり、「訳あり車」なのに一般的な新車を購入するときに提示される値引きにチョイ足ししたような条件では、見た目の状態がどうのという以前に買い得感はあまりないともいえるので、展示車や元試乗車を購入するときは慎重に確認してほしい。販売する側はそのあたりは承知で売ってくるし、一般的な新車販売より利益面で「うまみ」があるのもわかっている。

 まずは展示車の場合は、「当然一般的な新車を買うよりはお得になるんでしょうね」とセールスマンに伝え、反応を見てそれほど得をしないのならば、よほど当該車種にこだわりがあり、納車を急いでいるという事情がない限り、展示車は敬遠したほうがいいのではないかと考えている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報