納期遅延なんて概念自体が世界的には珍しい! 海外は日本の自転車のように「そこのクルマ」を買って帰るが普通だった (2/2ページ)

契約成立後も面倒な登録作業が発生する日本

 日本国内では、契約成立後に関係書類を用意して初年度登録を行い、車両登録及びナンバープレートの発給を受けなければ納車とならない。いまどきは、納める新車の最終検査も働き手不足や残業時間の抑制などで時間がかかり、最短でも2カ月ほどは納車まで待つ覚悟は必要となっている。諸外国のように契約成立時点で乗って帰れるような体制となれば、新車販売市場もよい刺激となり活性化すると思うのだが、そこは「お役所仕事」なので実現性に乏しい話のように思える。

 ちなみに大昔の昭和のころでは、一時抹消登録していない、つまりナンバープレートの生きている中古車で、ついているナンバープレートと同じ管轄地域内に住んでいる人が新たに購入した場合には、契約成立後にはしばらく名義変更に時間を要するのだが、契約成立時点で名義変更未完了のまま、そのまま乗って帰るというのは結構ポピュラーな話だったとも聞いている。

 ここ最近は、ディーラー各社が土地などを確保して自社在庫を直接管理するというのではなく、メーカーの生産工場近くなどにまとまって在庫車を管理しているというメーカーも多いように聞いている。各都道府県単位ディーラーなどで管理するのではなく、たとえば南関東、北関東など、より広範なエリア単位で一括して在庫管理を行えば、コストも含めて効率的な管理もできるし、在庫を融通しあうことも可能となるので、新規に生産を発注する必要も少なくなってくるだろう。

 メーカーと子会社関係的立場にあるディーラーでは、いまどき都道府県ではなく地域単位で組織構築を行っているケースが目立つが、それも間接業務や在庫管理の効率化なども狙ったものであることは間違いない。

 車両登録制度を抜本的に変えることはなかなか難しい。となれば、新車の物流を変えていくしかない。いま、日本のディーラーで行われている在庫車管理の変化は、より効率的なものとし、購入者のもとへできるだけ早く新車を納めようとする効果は十分期待できる。将来的には、最近郊外によく建設されているEC(電子商取引/ネット通販など)の大型物流拠点のようなものの新車版がメーカーの垣根を越えてできるようになり、そこで納車準備(用品装着などまで)を一括で行うことで、「引き取りにくればディーラー各店舗までの配送料無料」みたいなことにもなるのかなあと、その将来を想像してしまっている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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