アフターマーケットにもインパクトを与えた
レース直系の最新アイテムを惜しみなく投入
また、NISMO 400Rでは、これまでのアフターマーケットでは存在しなかった、最新のパーツが数多く投入された。エンジンは、当時日産モータースポーツ活動の一翼を担っていた日産工機(グループAエンジンの製作も担当)が日本のGTレースや海外のレース向けに新たに開発した2.8リッターのエンジンパーツを使用し、手組みした上で搭載した。これは、量産車の排ガス試験をクリアするため、カムシャフトやバルブタイミングの変更ができないなかで、ターボの性能をより引き出す解決策としての採用だったが、当時、アフター市場では2.7リッターへの排気量アップが主流であったが、400Rの登場を受けて2.8リッター化が主流になっていく。
ボディはひと際存在感を出すため、純正のシルバーから原色系のレッドにオールペン(現存するもう1台はイエロー)。275/35R18というワイドタイヤを装着するための片側25mmのオーバーフェンダーや、冷却効率を高めるダクト付きボンネット、ツインプレートクラッチ、カーボンプロペラシャフト、HID(ディスチャージヘッドライト)など、レース直系の最新アイテムとノウハウを惜しみなく投入。
足まわりにはビルシュタイン製のCリング式車高調を採用し、シートはアルカンターラで総張り替え。320km/hスケールのオリジナルメーターへと交換するなど、内外装、足まわりに至るまで特別な装いに仕立てられていたことが、多くのスポーツカーファンを魅了した。
99台の販売予定数は55台にとどまったがR33GT-Rの象徴として君臨
開発にはトップドライバーの木下隆之氏を迎え、サーキット、ワインディングだけでなく、ときには日産のテストコースを活用し、徹底的に鍛え上げられた。いま乗ると少々ピーキーに感じられるセッティングだが、オリジナルのR33GT-Rと明確な違いがあり、キレキレの痛快なハンドリングは大きなインパクトを与えたのは確かだ。
NISMO 400Rの価格は1200万円。ベースとなったR33GT-R Vスペックの2倍以上とかなり高額だったこと、バブル崩壊のあおりを受けたこともあり、99台限定販売の予定に対し55台にとどまっている。しかしながら、400Rの登場でR33GT-Rはデビュー当初のマイナスイメージを払拭し、NISMOのパーツビジネスの広告塔としても大きな成功を収めた。
現在の中古車相場は1億円を軽く超えるといわれており、いまなおNISMOにおける第2世代GT-Rの象徴的な存在であるNISMO 400R。
今年リフレッシュが施され、12月1日開催のNISMOフェスティバルでその姿を見ることができるので、ぜひ来場を!