当代随一のマシンデザイナー「エイドリアン・ニューウェイ」の本気! 12億円の2人乗りF1のようなRB17の全容 (2/2ページ)

販売台数はわずか50台で約12億円

 RB17は、F1のレギュレーションに縛られないため、とても自由な発想で設計されたハイパーカーだ。そのボディデザインは、もちろんエイドリアン・ニューウェイの手によるもので、彼らはそれを「パフォーマンスの究極形」と評するが、たしかにこのRB17が実際に実現するL/D、すなわちダウンフォースとドラッグの比率は、自動車よりも航空機のそれに近い数値となっている。

 ダイナミックで複雑な曲面を組み合わせ、そしてどれもが確かな機能をもつディテールの造形。ニューウェイは、「RB17」は自宅やガレージに飾りたくなるような芸術作品でもある」と語るが、まさに性能と美が共存するそのスタイルは、このRB17にとっては最大の魅力といえるのかもしれない。

 ミッドに搭載されるエンジンは、じつに1万5000rpmをレブリミットとする4.5リッターのV型10気筒自然吸気。これがホンダ製であるのならば、さらにその話題性は高まるところだが、RB17で選択されたのはコスワース製だ。ギヤボックスはカーボンファイバー製の6速。さらに200馬力のエレクトリックモーターが組み合わせられることで、最高出力はトータルで1200馬力に。また、このエレクトリックモーターはスターターやリバースギヤの役割も果たす。

 このパワーユニットは、ドライバーとパッセンジャーの快適性向上のためマウントを介して搭載され、そのため走行中のキャビンはとても快適な空間に演出される。その一方で、リヤのV型10気筒エンジンのサウンドは効果的に取り入れられ、カスタマーはいかにもF1マシンをドライブしているかのような興奮に包まれるという。

 前後のサスペンションは、これも1993年を最後にF1では禁止されたアクティブサスペンションを使用。重量は900kg未満、最高速は350km/hというから、そのパフォーマンスは間違いなくF1のそれに匹敵するものだ。

 RB17は、もちろんカスタマーの希望によってボディカラーや内装の仕様などを自由にアレンジできる。生産台数はわずかに50台。価格は600万ポンドというから、日本円に換算して約12億円。それでもそのオーダーリストには、早くも多くの人物の名前が、あるいは50人分の名前が連なっていることも想像に難くない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

新着情報