この記事をまとめると
■TOYOTA GAZOO Racingが会見を行った
■「TOYOTA GAZOO RacingとMoneyGram Haas F1 Teamの業務提携」を発表
■TGR育成ドライバーやエンジニア・メカニックがハースF1チームのテスト走行に送り込まれる
若手ドライバーに1番速いクルマに乗れる機会を創出
「私はF1をやめた人……(中略)F1撤退で、日本の若者が一番速いクルマに乗る道筋を閉ざしてしまっていたことを、心のどこかでずっと悔やんでいたのだと思います」。
2024年10月11日、富士モータースポーツフォレスト ウェルカムセンターにて行われたTOYOTA GAZOO Racing会見にて、モリゾウ(現トヨタ自動車会長豊田章男さん)がこう挨拶を始めた。2009年11月にF1を撤退を発表したことを、トヨタ自動車社長(当時)としては間違っていなかったとしつつも、クルマ好きおじさんのモリゾウとしては、いまでもよほど気にしていたであろうことがヒシヒシと伝わってきた。
そういう意味でも、今回発表された「TOYOTA GAZOO RacingとMoneyGram Haas F1 Teamの自動車産業の未来を見据えた業務提携」は、念願であったのかもしれない。これによると、TOYOTA GAZOO Racing(以下、TGR)とMoneyGram Haas F1 Teamは、MoneyGram Haas F1 Teamの車両開発分野などにおいて協力関係を結ぶことに合意し、基本合意書を締結。世界最高峰のモータースポーツであるFIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)において、日本の若手ドライバーやエンジニア・メカニックが経験を積み、成長する環境を整え、自動車産業の発展に貢献することを目指すという。
これはつまり、TGRの育成ドライバー、エンジニア、そしてメカニックをMoneyGram Haas F1 Teamのテスト走行に送り込むということ。ドライバーはF1での走行経験を積むことが可能となり、エンジニアとメカニックは、走行データなどの莫大なデータの解析ノウハウを学ぶことができる。さらに、TGRのエンジニアとメカニックは、MoneyGram Haas F1 Teamのレーシングカーの空力開発にも参画する。極限の使用環境下を想定したシミュレーションとカーボン部品の設計・製造を実際に行うことで、自動車業界の最先端の技術と知見に触れることができる、というわけだ。
ここでの貴重な経験は、それぞれの道でのちのち、かけがえのない財産となることは間違いない。そしてそれが、TGRの掲げるクルマづくり「People」「Pipeline」「Product」の三要素にもつながるはずだ。
今回のTOYOTA GAZOO RacingとMoneyGram Haas F1 Teamの業務提携により、2024年10月19日(土)から開催されるF1第19戦アメリカGPより、MoneyGram Haas F1 TeamのF1マシンのノーズと、リヤウイングの後方に「TOYOTA GAZOO Racing」のロゴが入れられることとなった。今後、願わくば「トヨタがF1に復帰」といった報道をお伝えできる日が来ることにも期待したい。