登録車市場では相変わらずトヨタが有利か
N-BOXの販売ナンバー1への強いこだわりは、ここまで「販売ナンバーワン」を続けながら、トップから陥落するようなことは販売戦略上許されないからである。N-BOX以外にも軽自動車をラインアップするホンダだが、その数は少ないので、スズキやダイハツとブランド別でのトップ争いを展開できない。
軽自動車はエンジンの排気量やボディサイズなどの制約が大きいので、見た目勝負の部分が大きい。そのなかで「一番売れていますよ」というのはセールスマンにとっては「キラーワード」となるのである。いまはフリードやヴェゼル、WR-Vなどへの分散も目立っているが、いまだにN-BOXのホンダ車内での販売比重は高い。その点でも、「ナンバーワン陥落」は許されないのである。
登録車販売トップはトヨタ・カローラシリーズとなっている。登録車のみでの2位トヨタ・ヤリスとの差は3978台(月販平均差663台)と僅差だ。ヤリスクロスの出荷停止がなければ、ヤリスシリーズがトップとなっていたともいえよう。
登録車のみのランキングでは、トップ10のうちトヨタ車が7台も入っており、トヨタ一強は揺るぎないものとなっている。トップ20まで広げると、トヨタ車は14台入っているが、そのなかで気になるのがプリウス。前年対比で52.5%と著しく販売台数を下げているのだ。いまでは納期も半年強ほどとなっており、需要が一巡したという表現だけでは済まないような落ち込みのように見える。
ここ最近ではめっきり減った「ガチンコ販売競争」を行っている、トヨタ・シエンタとホンダ・フリードはシエンタの勝利となっている。現役子育てファミリーをメインターゲットにしたモデルであり、「子どもファースト」での車種選びが目立つなか、習いごとや買い物などまさに毎日の生活の足として活躍もするので、購入条件や納期も購入決定ポイントとして重要な部分となってくる。その点ではフリードの新型登場のタイミングに合わせ納期改善も進め、納期1年ともいわれるフリードに納期面でシエンタが勝っている大きな要因のひとつともいえよう。
先日、近所の中古車販売店にホンダWR-Vの登録済み未使用中古車が展示してあって驚いた。登録後のキャンセルなどまさにスポット的に発生したものと考えたいところだが、ホンダはここのところ登録車の未使用中古車も目立ってきている。
車庫証明が不要であったり、必要な地域でも事後申請となる軽自動車に比べると、さまざまな面で手間のかかる登録車は、軽自動車に比べれば未使用中古車は目立たないのだが、そのなかWR-V以外でも改良後に改良前のホンダ車の未使用中古車の流通が目立っている。
2024事業年度下半期や2024事業年度締め年間販売台数でも、N-BOXは総合ランキングでもトップ死守をはかってくるだろう。登録車のみでは、今回の僅差を見ていると、ヤリスがシリーズトップというものが見えてきている。