子ども時代このクルマで育った大人も多いはず! いまやアルヴェル一色だけど「2代目エスティマ」は未来感溢れるミニバン界の革命児だった (2/2ページ)

走りも車内空間も高次元でまとめ上げていた

 ここで、当時の筆者の試乗リポートを要約すると、「16インチタイヤを履く標準車はトヨタの上級乗用車に匹敵する街乗りベストな快適感ある乗り心地がもち味。ただし操縦性は緩慢。活発な走りは得意としない。一方、17インチタイヤを履き、ローダウンサスペンションを採用したアエラス-Sともなれば、あらゆる走行シーンで安心感の高い操縦安定性とフラットな乗り心地を示し、高速道路や山道での安定感、爽快な走りのテイストが際立つ」。

「ただし、2.4リッターエンジンは回すとうるさく、回転フィールはガサツ。車格に合うのはトルキーかつスムースで静かな3リッターV6エンジン搭載車のほうだ。また、2.4リッターエンジン+モーターのハイブリッドはただの2.4リッターエンジンに対して、遥かにパワフルかつトルキーに走り、全体的な車内の静粛性でも圧倒。さらに後輪をモーターで駆動する電気式4WDはさらに安定感が高く、あらゆる走行シーンでリラックスした運転が可能」。

「エッグシェルデザインによってフロントウインドウの傾斜が強いため、前方の見切りには慣れが必要。居住性は文句なく、1-3列目ともに広々。とくに2列目席膝まわり空間は国産乗用車最大級のゆとりがある。運転席はアエラス-Sのスポーツシートだとかけ心地、サポート性ともに優秀でロングドライブでの快適感、疲れにくさが際立つ。7人乗りの2列目キャプテンシートとともにある8人乗りの2列目ベンチシートは2-3列目席対座も可能で、ミニバンとしての楽しさ、使い勝手にも注目だ」……とある。

 現在見かけるエスティマは、洗練された3代目(2006~2020年)が中心だが、30系2代目エスティマは、FF駆動方式やハイブリッド、そのハイブリッドに用意されたAC100V/1500Wコンセントの用意など、時代に先駆けた多彩なユーズに対応した、じつは国産ミニバンに大いなるインパクトを与えた1台といっていいのである。

 そんなトヨタ・エスティマは2019年10月、生産終了。1990年からの3代、約30年の歴史に幕を閉じた。今、中古車として買うなら、3代目の2016年6月に行われた最後のマイナーチェンジモデルを、V6ガソリン、ハイブリッドを問わず、薦めたい。エスティマの約30年の歴史の集大成となる濃い内容が、走行性能を含め、ふんだんに盛り込まれているからだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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