新車の供給体制は前年より改善……なのに販売台数は伸びず! 「ディーラーに行きたい」と思わせる「目玉車種」が少ないことが原因か (2/2ページ)

いろんなことがありすぎて消費者の購買意欲が盛り上がっていない

 前年比プラスとなったのは、前年に比べて新車の供給状況の改善がさらに進んだことに助けられたという部分のほうが大きいように感じる。トヨタを除けば、販売主軸車種でも最短2カ月ほどで納車可能というケースもあった。ホンダは8月のお盆休み明けから「プレミアム決算フェア」と銘打ったイベントの宣伝を開始しており、お盆休み明けから商談し、早々に発注すれば9月中に納車が間に合うというケースが前年より確実に増えていたので、この供給体制の改善にも助けられた部分が大きいのではないかと見ている。

 毎月のブランド別での軽自動車販売台数の推移は興味深いところだが、2024年9月もスズキが1万台ほどダイハツに差をつけてトップとなっている。内訳をみると、軽四輪乗用車が約1.6万台差をつけてスズキがトップとなっている。

 軽四輪車総台数では、ダイハツはスズキの販売台数比約79%で2位となっていたが、軽四輪乗用車ではそれが約63%となっている。軽四輪貨物では140%でダイハツがトップとなっているので、ここのところダイハツは軽四輪貨物販売で支えられているといえる。軽四輪乗用車でスズキに大差をつけられてしまうので、軽四輪総台数でも2位という状況が続いているのだ。

 中古車市場には、販売先の決まっていない在庫車をディーラー名義などでナンバープレートだけ装着した自社届け出車両由来の「届け出済み未使用軽中古車」が溢れているが、相変わらずダイハツの軽自動車が目立つ。スズキの軽自動車もないわけではないが、その数はダイハツよりは控えめとなっている。未使用中古車として新車より割安で購入できる環境が整ってしまっているので、新車販売がいまひとつふるわないとも見ることができるのである。

 9月単月の統計が発表になると、事業年度締め上半期の販売台数も決まる。軽四輪車総台数ではスズキが9万台ほど差をつけトップとなっている。軽四輪乗用車では10万台強スズキが勝っている。軽四輪貨物では約1.6万台差をつけダイハツが逆にトップとなっているが、10月末には再び一部車種でダイハツは生産停止となるといわれているし、事業年度締め下半期で上半期の差をリカバリーしてトップになることはかなり厳しいように見える。

 ちなみに登録乗用車の2024事業年度締め上半期販売台数は121万9924台となり、124万2377台であった前年比約98%となっている。前年以上に供給体制の改善が見られるなか、ほぼ前年並みで推移しているのは、やはり消費者の購買意欲というものが盛り上がりに欠けており、それを刺激するような新型車が2024年は不作といわれている状況が影響しているのかもしれない。

 あとは世のなかに目を向ければ、増税、社会保険料の負担増といった国民負担のさらなる増加の話ばかり。これではなかなか積極的に「新車を買おう」と盛り上がることができないのも納得できるところである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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