かつて一世を風靡したBMWとコルベットのチューナー
ACシュニッツアー/ハルトゲ(AC SCNITZER/HARTGE)
BMWのチューナーといえばアルピナを思い出す方が少なくないかと。ですが、あちらは本国ではれっきとした自動車メーカーであってチューニングカーファクトリーにあらず。ドイツはこの線引きがじつに面倒くさい(笑)。では、チューナーといえばどこかといえば、ハルトゲとACシュニッツァー、あるいはマイナーすぎて誰も知らないAHGくらいでしょうか。
このうち、ACシュニッツァーは国内ベンダーが活躍しているので忘れられてはいないでしょう。ちなみに、大昔はシュニッツァーで1987年以降はACがつきましたが、これはシュニッツァーがドイツ国内大手BMWディーラー、コール・グループに資本注入されたため、ドイツの会社法とかなんとかでこういう表記になったとか。ほんと、ドイツは面倒くさい(笑)。
で、ハルトゲは残念ながら2019年をもって閉鎖されていました。その昔はストレートシックスにKKKのどでかいタービンを装備したり、ハイカム組んで1万rpmとかいかにもチューニングカー的なマシンを作り上げていたんですがね。国内ではトミーカイラでお馴染みのトミタ夢工場が、正規ディーラーとなってコンプリートカーの輸入をしていましたっけ。
当時からアルピナと比べられたりしていましたが、前述のように似て非なるもので、チューンの方向性も方やバランスと精度の権化であり、ハルトゲはBMWをより過激でレースカーチックに仕立て上げるのが魅力的でした。
なお、AHGはハンブルクやシュツットガルトに同名のファクトリーがあるものの、いずれもBMW専門というわけではなさそうです。ちなみに、チューニングの方向性はハルトゲに似ていながら、外装はリップスポイラーを追加する程度の地味なテイストでした。
キャラウェイ(Callaway)
アメ車が好きでも、コルベットのマニアくらいしかキャラウェイの名前は知らないかもしれません。スレッジハンマーというペットネームのチューンド・コルベットは1990年代から2000年代までアメリカでバカ売れしていました。
そもそも、創立者のリーブス・キャラウェイはタービンに対して強い執着を持っており、コルベット以前にもBMWやVW、あるいはアルファロメオなんかにもターボチューンを施していた人物。ちなみに、ゴルフ用品のキャラウェイは彼の父親が創立したブランドです。
そんなキャラウェイのコルベットでもっとも印象的だったのはC4をベースにツインターボ化して382馬力を発揮したRPO B2Kで、これは初代スレッジハンマーと呼ばれることが多いようです。特筆すべきは、このチューンドマシンはGMディーラーで正式に注文できたことで、つまりはGM公認のチューニングカーだったということ。また、本家GMも1990年にはスレッジハンマーを上まわる390馬力のZR-1を発表したものの、キャラウェイは402馬力まで出力を強化して対抗。GMの懐の深さに対し、キャラウェイの大人げない対応がアメリカ的でじつに微笑ましいではありませんか。
その後もキャラウェイの活動はGMやレンジローバー、あるいはアストンマーティンと続き、GTレースやインディなどあらゆるシーンで彼の作品を目にすることができます。なるほど、本物を作り続けるとファンの支持もずっと続くという好例ではないでしょうか。