豪奢な「エクステンデッド」とスポーティな「ブラックバッジ」
ここからは新型ゴーストのシリーズ IIに用意されたふたつの派生モデルを紹介しよう。
まずは、さらなるキャビンの快適性を求める顧客のために、「エクステンデッド」モデル。伸びやかなボディをさらに170mm延長することで、エレガントなスタイルはそのままに、リヤシートの乗員がさらにくつろげる空間を用意していることが特徴だ。
基本的なメカニズムは標準モデルと同一だが、特別な追加装備も用意される。プライベートジェットを想起させるリクライニング可能なセレニティシートがチョイスできるほか、シャンパンクーラーを装備することも可能。ちなみにこのシャンパンクーラーは、ノンヴィンテージのシャンパーニュの最適な提供温度は平均6℃、ヴィンテージの場合は概ね11℃というソムリエのアドバイスを受け、6℃と11℃の2種類の冷却モードで作動するという。
豪奢を極めたモデルであることは理解していても、その細部へのこだわりには脱帽するほかない。
そして、もうひとつは、「破壊的な分身」とうたわれる「ブラックバッジ・ゴースト」。その名が示す通り、ブラッククロームのアクセントで表現された大胆かつ力強いデザインと、専用のチューニングによるドライバーオリエンテッドな走行性能が特徴となる。
そのエクステリア面での特徴がもっとも表れているのがフロントマスクだろう。ロールス・ロイスを特徴づけるスピリット・オブ・エクスタシーとパンテオングリル、加えてサイドのバッジ・オブ・オナーがブラッククローム仕上げとなる。これは単なる塗装ではなく、メッキ加工時に特殊なクローム電解液を用いてステンレススチールの下地を共析させることで、妖しくも高貴な輝きを実現したという。
また、同じくブラック・クロームの装飾が施されたロアグリルも専用の意匠となっているほか、テールランプやドアノブなど各部にもブラックの装飾が施される。
そして、黒光りするグリルの奥に搭載されるV12ツインターボエンジンも標準車よりハイパワーな設定。29馬力、50Nmのエクストラパワーを得ている。また、スロットルを90%まで踏み込んだときにギアシフト速度が50%増加するほか、エグゾースト・システムの音量も広がりを増す「Low」スイッチがシフトレバーに備わる。
専用チューンを受けたサスペンションやブレーキシステムも相まって、「ブラック・バッジ」ならではの走りの世界へとドライバーを誘う。
ブラックバッジを象徴するダークでテクニカルな表現は、インテリアにも取り入れられている。ボリバルウッドをベースにカーボンファイバーとメタルファイバーを取り入れたスポーティかつ上品なパネルが各部にあしらわれるほか、シートの表皮に大小の穴を無数に穿つことで緻密で立体的なグラフィックを実現した「プレースド・パーフォレーション」も選択することができる。
豪華絢爛ながらも先進的でドライバーをも満足させる、まさに「究極の高級車」となった新型ロールス・ロイス ゴースト「シリーズ II」。現時点では販売時期や価格は未定ということで、詳細の発表が待たれる1台だ。