この記事をまとめると
■ルノーのクーペSUVであるアルカナがマイナーチェンジを実施した
■内外装にアルピーヌのイメージを投影した新グレード「esprit Alpine」を設定
■E-TECHフルハイブリッドにはバッテリー残量を残しながら走行する「E-SAVE機能」が追加された
ルノー・アルカナがマイナーチェンジを実施
Cセグメントに属するルノーのクーペSUV「アルカナ」がマイナーチェンジを受けた。フロントマスクのデザインを小変更するとともに、リヤまわりも使われている色の数を減らすと同時に、ブラックアウトされた部分を増やすことで、従来型以上にスポーティでシャープなイメージに。そして新グレード「esprit Alpine(エスプリ アルピーヌ)」が投入されたのもトピックだ。
このesprit Alpineのパワーユニットはこれまでと同一だが、タイヤサイズは従来型の215/55R18から225/45R19に変更され、インテリアにはレザーフリー素材(人工皮革)を採用。縦型のセンターディスプレイは7インチから9.3インチにサイズアップされている。
また、フランス国旗を想起させるタグやトリコロールのステッチ、アルピーヌエンブレムの刺繍などの「わかりやすいフランス感」を取り入れたフロントシートなどが、視覚上の特徴となる。そして360°カメラにサイドビュー機能が加わったのも、実際にこのクルマを使用するうえでは地味に重要な改変ポイントといえるだろう。
そんなマイナーチェンジ版アルカナのフルハイブリッドモデル「esprit Alpine E-TECHフルハイブリッド」に試乗した。
全長4570mm×全幅1820mm×全高1580mmというボディサイズは「ザ・Cセグメント!」といったところで、その範囲内でCピラーを傾斜させたクーペスタイルを表現しているだけに、「アルカナの車内は狭めなのでは?」という印象も受けるかもしれない。だが実際はまったく窮屈ではなく、懸念される後席についても身長175cm級の乗員が着座した場合、膝もとも頭上も普通に余裕がある。
イグニッションをONにして走り出すと、まずはEVモードとなって、モーターの力のみで推進していく。
アルカナ-のE-TECHフルハイブリッドは「モーターのみで走る時間をなるべく積極的に作っている」といえるシステムだが、そうすると高速道路の登りがダラダラ長く続く区間などでバッテリーの残量切れを起こし、モーターによるアシスト量がゼロになってしまうことがあった。今回のマイナーチェンジではそれを防止するため、「E-SAVE機能」なる機能が追加された。
このE-SAVE機能はON/OFFの切り替えが可能で、ONにしておくと、常にバッテリー残量をある程度残すようにエンジンが使われることになる。平坦な市街地だけを走る分にはOFFでもぜんぜん構わないのだが、このあとは高速道路に乗る予定であるため、E-SAVE機能をとりあえずONにしてそのまま走り続ける。
前述のとおり、積極的にEV走行を行うタイプのハイブリッド車であるアルカナE-TECHだが、走っていれば当然ながらエンジンが始動する局面も多い。だがそんな場合でもエンジン始動音はまったく聞こえず、また始動に伴うショックも感知できない。メーターパネル内のグラフィックを見ない限り、「いま、このクルマはモーターのみで走っているのか、それともエンジンも回っているのか?」はいまひとつわからない。とにかくシームレスで洗練されている。
シームレスといえば、ドグクラッチ(一般的なシンクロナイザーを備えない歯車と歯車が噛み合う方式のクラッチ)を採用しているのもE-TECHハイブリッドの特徴だが、このドグクラッチがまた大変にシームレスで心地よいものだった。極めてなめらかなのだが、CVTのようなラバーバンド感は皆無であり、それでいてDCTのようなダイレクト感もあるという逸品である。