盛りに盛られて最高出力は2040馬力
こうした魔改造を担ったのはフォードのなかでもっとも過激とされる「フォード・パフォーマンス・ディビジョン」と、オーストリアのSTARDチーム。なお、STARDは元ラリードライバーのマンフレード・ストールによって創設されたモータースポーツに関する研究開発を担う企業とのこと。FIA認定バッテリーシステムをはじめ、EVモータースポーツにかかわるソリューションベンダーという心強いパートナーというわけです。
スーパーバン4.2はパイクスピークの高高度の空気に適応するダウンフォースを得るよう改良され、時速150マイルで4400ポンド(およそ240km/hで1995kg)以上発生することに。実際、パイクスピーク出場前にはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのタイムアタックで43秒をマークして、見事に優勝をかっさらっています。あのコースもまた、ダウンフォースがあればあるだけ有利といわれますからね。
むろんパワーアップもSTARDが電気のノウハウを存分に発揮した魔改造レベル。UHP 6相モーターの数を3機として、STARDの超高性能リチウム・ポリマーNMCパウチセルを装備。フロント1モーター、リヤ2モーターの全輪駆動システムを構築しています。
また、合計出力は1050kW(およそ2040馬力)で、ここに600kWの回生ブレーキシステムを備えるといいますから、0-100km/h加速に2秒かからないというのも納得です。
156ターンあるというパイクスピークでは、この加速力が大きなアドバンテージとなって8分47秒682のタイムでパイクスピーク・オープンクラス1位、総合2位でフィニッシュというリザルトを得たのでした。
プロモーションの一環とはいえ、やはりプロフェッショナルが真剣になると、いかに商用バンといえどもすごいマシンに変貌するという、フォードとSTARDの取り組みは胸のすくようなものでした。それにしても、スーパーバンはこういうプロモを50年以上続けているわけですから、もはや伝説レベルの悪ふざけといえるのではないでしょうか(笑)。