コレクター阿鼻叫喚! クルマの「紙のカタログ」が消滅する日もすぐそこだった (2/2ページ)

カタログありきで商談が進むことが減っている

 その昔はカタログをディーラーへ行き、もらってきて、その日の晩から寝る前など徹底的に読み込み、諸元表や装備一覧表などを見て欲しいグレードなどを決め、そのあとお客の自宅などにセールスマンが訪問してきて商談するというのが当たり前だったので、デジタルツールの有無に関係なく、紙ベースのカタログというのは商談に馴染んでいた。

 しかし、いまや店頭商談で、しかも商談1回ぐらいだけで契約まで進むようなことが多くなれば、そもそもお客側としてはわざわざ紙のカタログをもらうことなく、タブレットをのぞき込めばそれで済んでしまうので、その意味でも紙ベースのカタログはその役目を終えるとなっても仕方がないのかもしれない。

 筆者は仕事柄、新車ディーラーへよく出かけるのだが、最近はこちらから「カタログをください」といわないと、セールスマンからは「カタログをおもちしましょうか」といわれないケースが目立ってきている。「年寄りなので紙ベースのカタログがないと気分が出ない……」とセールスマンに話し商談テーブルで待っていると、セールスマンが紙カタログをもってきてくれたりするが、いまどきのセールスマンも商談においてカタログがあまり重要なツールとは考えていないようにも見える。

 新車は高い買い物なので、お客を買う気にさせるというのもセールスマンの腕の見せどころであった。そんなときに、格好いい写真のたくさん掲載されている昔のカタログは、まさに「セールスツール」としてその役目を発揮してくれていたのである。

 以前、中国BYDオート(比迪亜汽車)のディーラーへ行ったのだが、BEV(バッテリー電気自動車)のみを扱うこともあるのか、当然のように紙のカタログはなかった。さらに、ショールーム展示してある展示車のスタートボタンを押してみてくださいといわれ驚いた。ICE(内燃機関)の展示車ならばスタートボタンを押せばエンジンがかかりたちまちショールーム内に排気ガスが充満してしまう。セールスマンいわく「店内でも運転できる状態でさまざまなチェックができます」とのことで、いままでにない新鮮な気もちを味わった。

 デジタル社会だから紙がおしまいというわけではないが、クルマのカタログだけでなく、広く紙ベースのものから情報収集したことのない世代が増えつつあるのだから、時代に即したツールの用意は仕方ないが、やはり紙ベースのカタログがなくなるのは寂しい限りである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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