「安さだけが取り柄」のように言われてきた「鉄ちんホイール」を見直すときがきたか! いま「スチール+ホイールキャップ」でキメるクルマがじわりキテる!! (2/2ページ)

ホイールキャップの採用は商品力を追求した結果

 とはいえ、スチールホイールに装着されるフルホイールキャップにはスタイリング向上以外のメリットが感じづらいのも事実でしょう。整備やタイヤ交換時にホイールを外す際にはキャップを脱着するという手間は増えますし、そもそもキャップはバネの力でハメ込んでいるだけのケースが多く、極まれにですが走行中に外れてしまうこともあります。

 しかも、ほとんどの場合で、スチールホイール用フルホイールキャップにドレスアップ以外の機能はありません。アルミホイールに追加する樹脂製キャップのなかには、空力性能を向上させることを狙ったデザインになっていることもありますが、スチールホイール用キャップは意匠性能がメインといえます。キャップ装着により車輪中央にあるハブまわりの保護機能があるのも事実ですが、そのためだけであれば、中央部分だけをカバーするキャップで十分であり、あえてホイール全体を覆う形状にする必要はないともいえます。

 結局のところ、カッコよく見せることが乗用車においては重要で、最低でもホイールキャップを装着することをマーケットが求めているのが現状といえるでしょう。というわけで、高級車や上級グレードにはアルミホイール、廉価モデルやエントリーグレードにはスチールホイール+フルホイールキャップというのが日本車における足もとのお決まりといえるのですが、そうした状況に変化が起きつつあります。

 さきほど、N-BOXのホイールについて触れましたが、新たに登場したアウトドアテイストのJOY(ジョイ)については、14インチのスチールホイールとなっています。しかし、ホイールを塗装した上で、ハーフキャップやホイールリングをアドオンすることにより、スチールの素材感を活かした「おしゃれな足もと」を実現しています。この手法は、N-BOX JOYで初採用したものではなく、何年も前からNシリーズではおなじみだったのですが、その認知度が一気に上がっているのを感じます。

 他メーカーでも、スズキの軽SUVハスラーのエントリーグレードは、ホワイトやガンメタに塗られたスチールホイールを履いています。こちらもスチールの素材感がもつタフネス表現を、スタイリングの要素として上手に利用している好例といえるでしょう。

 あまり知られていないことながら、一般論として小径ホイールになるほどアルミ製よりスチール製のほうが軽量にできるという機能的なメリットがあったりもします。はたしてスチールホイールが再評価され、トレンドの中心になることはあるのでしょうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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