この記事をまとめると
■施設や店舗が決めた「右折入庫禁止」などには法的能力はない
■右折入庫禁止の施設や店舗で事故を起こした場合には右折車の過失割合が大きくなる
■施設や店舗が「右折入庫禁止」などとしているのは出入り口での混雑や危険を防止するため
施設や店舗が決めた「右折入庫禁止」などに法的能力はない
駐車場に出入りするときや駐車場内での事故は思っている以上に多く起きています。また、お互いに運転しているときだけでなく、駐車場に戻ってきたときにクルマが傷ついていることに気がつくこともあるでしょう。では、駐車場への出入りや駐車場内での事故の過失割合は、どのようになるのでしょうか。
駐車場に右折で入ろうとしたときに対向直進車とぶつかった場合
施設や店舗によっては、右折で入ろうとしたときに「右折入庫禁止」としているところがあります。
施設や店舗が決めた「右折入庫禁止」などに法的能力はありませんが、右折で入庫する際に右直事故や追突事故が発生する可能性が高いため、施設や店舗が独自に右折入庫禁止にしていると考えられます。そのため、右折入庫禁止とされている施設や店舗に入るときは、左折で入庫したほうがよいといえるでしょう。
もし、施設や店舗が右折入庫禁止としているのにもかかわらず、右折で施設や店舗に入ろうとして、対向車線を走行する直進車と事故を起こしてしまった場合は、右折したクルマの過失割合が大きくなります。一般的には、右折したクルマが90%、対向車線を直進しているクルマが10%の過失割合になるようです。
駐車場内の事故はケースバイケース
駐車場内の事故における過失割合はケースバイケースです。ここで、いくつか例を紹介します。
(1)駐車場の区画に停めようとしているクルマに、通路を通行しているクルマが追突した場合は、通路を通行しているクルマの過失割合が大きくなることが多い
(2)駐車場の区画から出ようとするクルマと通路を通行しているクルマがぶつかった場合は、区画から出ようとしたクルマの過失割合が大きくなる可能性が高い
(3)クルマを区画に停めようとしたときに、すでに区画内に停まっているクルマに当たってしまった場合は、駐車場の区画に止めようとしたクルマの過失割合が大きくなる
このように、状況によって過失割合が変わります。過失割合を正確に出すためにもドライブレコーダーを取り付けておいたほうがよいといえるでしょう。
施設が設置した標識や表示などに従ったほうがいい理由
先述したとおり、施設や店舗が設置した「右折入庫禁止」や「止まれ」などの標識や表示などに法的効力はありません。いい方を変えれば、施設や店舗が設置した標識や表示に従わなかったとしても、警察に取り締まられることがないということになります。
法的な効力がないのにもかかわらず、施設や店舗に標識や表示などを設置しているのは、出入り口の混雑や危険を防止するためです。事故を起こしたり巻き込まれないようにするためにも、施設や店舗に設置されている標識や表示などに従ったほうが良いといえるでしょう。