床下のスペアタイヤ付近にぶらついてる謎のチェーンって放置していいの? じつは安全と便利さを両立したスグレモノ機構だった! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■スペアタイヤには「スペアタイヤキャリアチェーン」という安全装置が備わる

■落下防止のために主に大型車のスペアタイヤに装着されている

■近年ではランドクルーザーやキャラバンなどにも採用されている

あんなところになぜチェーン?

 先日、道路脇に停まっていたトラックを見て気になることがあった。車両の床下? 下部にスペアタイヤが付いているのだが、その固定されたスペアタイヤがチェーンに吊り下げられたようになっているのだ。そもそもスペアタイヤが固定されているのであれば、あえてブラブラするチェーンを付ける必要性もないような気がするのだが、これにはどういう理由があるのだろうか?

安全性を高める二重の保護機能

 スペアタイヤキャリアチェーンは、おもにスペアタイヤが走行中に脱落するのを防ぐための安全装置だ。大型トラックやバスなどの商用車では、スペアタイヤは通常、車体下部のキャリアに固定されているが、長距離走行や雪道やわだちなど、悪路走行による振動で固定部分が緩んでしまう可能性がある。最悪の場合、スペアタイヤを落としてしまうことすらあるのだ。実際、2017年にはスペアタイヤの落下が原因で痛ましい死傷事故も起こっている。

 スペアタイヤは運転席から離れた場所に添え付けられていることが多いため、ドライバーがスペアタイヤの異常に気付かないこともある。そのような事態に備えて、チェーンによる二重の保護機能を設けているのだ。

 スペアタイヤは、道路運送車両法に基づく「自動車点検基準」において、「自動車の点検及び整備に関する手引として、スペアタイヤ取付装置に緩み、がた及び損傷がないかをスパナ、目視、手で揺するなどして点検すること」、「スペアタイヤが傾きや緩みなく確実に取り付けられているかを目視、強く押すなどして点検すること」、「ツールボックスの取付部に緩み及び損傷がないかをスパナ、目視などにより点検すること」が義務づけられており、チェーンはその安全性を確保するための重要な役割を果たしているのだ。


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