じつは制動力が高いのは「ドラムブレーキ」のほうってマジ!? それでもディスクブレーキが主流になったワケ (2/2ページ)

あらゆる状況で安定した性能を発揮するディスクブレーキ

安全性と信頼性の向上でディスクブレーキが主流になった

 対して、ディスクブレーキは構造がシンプルで部品点数も少ない。熱による影響も受けにくく、フェード現象が起こりにくい。また、水濡れしたときの性能低下も少なく、より安定した制動力を発揮できる。

 整備性の面でも、パッド交換もしやすく、点検も目視でできることが多い。これは、整備コストの低減にもつながり、ユーザーにとってもメリットが大きい。

 さらに、近年の電子制御技術の発展により、ABSなどの安全装備との相性もいいことがわかってきた。ディスクブレーキは制御が容易で、より精密なブレーキコントロールが可能なのである。

 じつは、ディスクブレーキの歴史は古く、1900年前後にイギリスで基本特許が取得されたといわれている。しかし、当時の製造技術では精度の高いディスクを作ることができず、実用化には至らなかった。その後、材料技術や加工技術の進歩により、高精度なディスクの製造が可能になり、徐々に普及していったのである。

 現代の自動車には高い安全性と信頼性が求められる。ディスクブレーキはその要求に応えるべく進化を遂げ、いまでは当たり前の存在となった。基本制動力だけを見ればドラムブレーキに劣るかもしれないが、技術の進化により、現在では総合的な性能で圧倒的な優位性をもっているのである。

 クルマの進化は必ずしも数値だけでは測れない。ディスクブレーキの普及はそのいい例といえるだろう。


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