この記事をまとめると
■日本でシトロエンの屋台骨を支えるMPVのベルランゴがモデルチェンジ
■新世代のブランドロゴを採用したモデルは日本市場では初導入
■デザインの刷新がメインだがインフォテインメント系も改良進化
シトロエンを牽引する人気モデルが新世代の装いを手に入れた
ベルランゴは、2020年に日本市場にお目見えした、いわゆるMPV(マルチ・パーパス・ビークル)にカテゴライズされるモデル。簡潔にいえば、バンタイプの商用車をベースに乗用車を仕立てたようなモデルだ。日本車ではがっぷり四つの競合車種が存在しないが、輸入車では同じフランスからのルノー・カングーなどが同じ立ち位置となる。
商用車ベースと聞くとなんだか無骨で安っぽいイメージが浮かんでしまいそうだがさにあらず。このようなジャンルが隆盛していることもあって、デザインも凝っているし、快適装備だって充実している。また、商用車はハードユースに備えてボディや足まわりなどの剛性が高いため、乗用車として仕立てたときに存外にいい走りをすることも多い。
今回のマイナーチェンジのいちばんの目玉は、エクステリアデザインの一新だろう。
目を引くのは、デザインが以前から大きく変わったエンブレムとインパクトのあるヘッドライト。このエンブレムは、1919年のシトロエン創業時のロゴを現代的に再解釈したデザインで、2022年に発表されたもの。ヘッドライトは3つのLEDバーで構成されたフックのようなシグネチャーが特徴的だ。
全体的に丸みを帯びていた従来モデルからは一転、シャープな雰囲気を感じさせるエクステリアに仕上がっている。
シトロエンは、先に述べた新ブランドロゴや、同じく2022年に登場したコンセプトカー「Oli concept(オリ コンセプト)」の流れを汲んだ特徴的な新世代のデザインを、今後すべてのモデルに採用してゆくと発表しており、すでに本国では新型C3やC3エアクロスに採用しているが、これらのモデルは現時点は日本市場には未導入となっている。
つまり、このようなシトロエンの新世代デザインが日本に持ち込まれるのは、今回の新型ベルランゴが初めて。かなりの意欲作であることがうかがえるが、それもそのはず。じつはこのベルランゴ、日本市場においてシトロエンの稼ぎ頭なのだ。
新型ベルランゴの発表会で登壇したStellantisジャパン Citroënプロダクトマネージャーのディミトリ・オック氏は、「ベルランゴは2020年の日本導入以来1万台以上の累計登録台数を持つベストセラーであると同時に、日本におけるシトロエンを年間販売台数を2000〜3000台規模から5000台規模のブランドへと成長させた立役者であり、極めて戦略的なモデルだ」と強調する。
氏は同時に、マーケティング戦略において、ベルランゴのユーザーが重視する大きなファクターとしてエクステリアデザインがあったとも語る。新世代デザインを採用したモデルの日本導入第1号をベルランゴとしたことも納得できる力の入れようだ。