海外じゃ「お坊さん優先」なんて例も! 海外の「優先席」事情と日本の現状 (2/2ページ)

海外には多種多様な優先席が存在

 話は逸れるが、女性専用車両(連節車両)や専用席といったものが、インドネシアのジャカルタではバス車内に用意されていた。まだ「老人」と呼ばれるまで歳をとっていない筆者だが、インドのデリーの地下鉄で席を譲ってもらったときはショックを受けた。

 路線バスでは中扉から前で、運転席真後ろと、前扉付近の席(ない場合が多い)はホイールハウス上に設置されていることもあるのか、優先席指定されていないが、そのほかの席は優先席扱いとなっている。さらに、車いす利用の人が乗ってきたら、座席をたたんでスペースを設けることとなるので、そのときは当然立たなければならない。

 しかし、都バスを見ていると、三菱ふそう製新型車両の場合は中扉対面の一部には席自体を設けず、そのまま車いすスペースとして使えるようにしている。また、古い床の高い小型バスでは扉側最前列を優先席にしていたりもする(床が高いので車内がフラットフロアでもあるため)。

 いまの路線バスは低床となり、車いすでの乗降のためのスロープが用意され、その都度運転士さんがスロープを設置して乗降を手伝っている。しかし、以前の高い床のバスの時代には、車いすの人がバスに乗ろうとしたり、降りたりするときには、運転士さんがほかの乗客に声をかけ、みんなで車いすを持ち上げて乗降を手伝っていたことを記憶している。

 最近は何かと気にしなければいけなくなっているので、令和の時代にみんなで車いすを担ぐというのはかなり難しいし、いまの世相では手伝うにはあまりにリスクが高いともいえよう。

 タクシーでは、東京都内を見ればユニバーサルデザインとなる、トヨタJPNタクシーがほぼメインといっていいほど街なかを走っている。バンコクではまだセダンタイプがメインであるし、インドネシアのジャカルタも多人数乗車は可能だが、ユニバーサルデザインというものは意識していないように見えるので、JPNタクシーはその点ではかなり存在感を見せているといっていいだろう。

 筆者が見ている限りでは、日本の公共輸送機関は優先席も含め、世界的に多様性が高いように見える。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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