500eのSUV版でもなきゃ500Xとも違う! フィアット600eのエクステリアをデザインのプロが徹底分析

この記事をまとめると

フィアット600eが日本で発表された

■最新のデザインコンセプトを反映させたモデルとされている

■初代600のデザインを随所にオマージュしている

フィアット600eがついに上陸!

 9月10日、フィアット・ブランドとしては約1年半ぶりの新モデルとなる600eが発売されました。先行した500e同様、フィアットの最新のデザインコンセプトを反映させたという新型ですが、そのデザインの見所はどこにあるのか? 今回はそのエクステリアデザインをじっくり検証してみたいと思います。

●500eだけでなく、初代600もオマージュ

「ドルチェ・ビータ」。直訳すると「甘い生活」を最新のデザインコンセプトとするフィアットですが、そのなかで600eは初代600と500eをオマージュした点が特徴とされています。

 なるほど、最初に写真を見たときは「これは500eそのもの!」と思ったワケですが、あらためて実車をチェックすると、発表会で担当デザイナーのフランソワ・ルボワンヌ氏が語ったように「単に500eの拡大版ではない」ことがわかってきます。

 そしてもうひとつ、コンパクトSUVならすでに500Xがあるわけですが、これとの違いも見所のひとつといえそうです。

●500Xとは異なる表情のリヤビュー

 フロントは、例のまぶたをイメージしたアイコニックなLEDランプがとにかく印象的ですが、目尻に入れた切れ長の黒いアクセントが新しい表情を作っているのも巧妙。また、特徴的な台形グリルは500eと比べても「切り込み」がシャープで、顔全体をキリッとさせています。

 一方、後ろ姿では、初代600の「猫背」を取り入れたという強い丸みをもったリヤパネルが特徴です。500Xのリヤパネルは一般的なSUVらしく下部を安定させたなだらかな形状ですが、600eではグッと強い張りをもたせることで、初代600がもっていた微妙なバランス感が再現され、同時に軽快さも感じさせるのです。

 こうして前後だけを見ると、いかにも500eのSUV版に見えるワケですが、「単なる拡大版じゃない」と思わせるのが、意外なボディ側面の造形なのです。

●柔らかい前後とシャープな側面

 500e(500)のサイド面といえば柔らかいショルダーの張りがイチバンの特徴ですが、これをそのまま取り入れたのはじつは500Xのほうで、まさに500シリーズの拡大版的な佇まいです。

 それに対し、600eは上下に平行な2本のキャラクターラインがリヤに向けて駆け上がっていて、とくに下のラインはドア下部を深く削いでいるのが特徴。さらに、サイドシル部はブラックのプロテクターで引き締められていて、ボディ側面をスリムに見せているのです。

「なぜ丸みのある前後に、これほどスリムでシャープな側面?」という疑問が湧くのですが、これもまた初代600のオマージュかと。具体的には、「初代600の特徴的なブリスター風のフェンダーラインや、前後フェンダーを結ぶドア下部のキャラクターラインを現代風に再解釈したのでは?」と推測させるのです。

 これを唐突と感じるか、あるいは新しいフィアットデザインの提案と受け止めるか、なかなか奥の深い造形と言えます。まあ、そもそも600eの名前には「500eに100個の魅力を追加する」という意図がありますから、そこは後者と受け止めるべきかもしれません。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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