昭和キッズにもトラック野郎にもけっこう嬉しいスポットだった! SAや道の駅に押されて絶滅寸前の「ドライブイン」って何? (2/2ページ)

サービスエリアと道の駅に取って代わられたドライブイン

■なぜ数が激減してしまったのか

 そんなドライブイン、最盛期はガソリンスタンドと同等か、それ以上の数が街道沿いに点在していましたが、1980年代くらいから徐々に数が減っていき、いまでは全国で数百カ所といわれるくらいに減少してしまいました。あれほどもてはやされていたのに、いまでは絶滅が危惧されるほどの希少な存在になってしまったのです。

 その理由はいくつか挙げられます。

 まずは高速道路網が整備されたことです。戦後の日本復興の計画で、物流の主力が鉄道から自動車(トラック)へと方針転換されたことで一気に道路網の整備が進みました。その計画の目玉が高速道路の建設です。

 1963年に名神高速の一部の開通に始まり、東名高速、中央道、関越道など徐々に高速の道路網が充実していきました。

 それまでトラックの主要ルートは一般街道でしたが、速いスピードで信号もなく快適に走行できる高速道路に主要ルートは移っていきました。高速道路には一定の距離ごとにサービスエリアやパーキングエリアが設けられていたので、わざわざ速度が遅く信号で停止を余儀なくされる一般道を選ぶドライバーは激減しました。

 また、レストランのチェーン店やハンバーガーショップなどのファストフード店の台頭もドライブインの衰退に輪をかけました。

 観光地ではご当地の人気食や土産物を買いに立ち寄る需要はありますが、途中の区間ではできるだけ速やかに食事や休憩を済ませたいと考えます。そのため、気軽に入れて安くて早いファストフード店の人気が高まり、しだいに街道沿いのシェアを占めていきました。

 そしてトドメを刺した存在といえるのが「道の駅」です。道の駅は1990年代初頭から姿を現した、広い駐車場とトイレ、売店、飲食施設を兼ね備え、24時間利用することができる施設です。一般道のパーキングエリアといってもいいでしょう。

 主要な街道を中心に、ドライバーの休憩ができる設備を求める声に応えることと、地方の地域振興のための設備を作るという、官民双方の需要に応えるために構想されました。

 まだ数こそ最盛期のドライブインには及びませんが、まさに現代版のドライブインといえる拠点なので、ドライブインの必要性が薄くなってしまったといえるでしょう。

 そんな向かい風の状況ですが、いまでも観光地で細々と経営を続けているところもあるようで、昭和のノスタルジーを愛する身としては有り難い限りです。

 ちなみにそんな昔から続く文化を愛しむ雄志が、現存するドライブインをメディアで紹介するなどしているようで、わざわざ何百kmも移動して訪れるなど、一部で密かに人気が再燃する動きもあるとか。気になったという人は、見付けた際にはぜひ立ち寄ってみてください。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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