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最近弱ってきたな……じゃなくて元気だったのに突然死! クルマのバッテリーがいきなりダメになる理由と避けるための対策とは (2/2ページ)

最近弱ってきたな……じゃなくて元気だったのに突然死! クルマのバッテリーがいきなりダメになる理由と避けるための対策とは

この記事をまとめると

■クルマを動かすうえでバッテリーの存在は欠かせない

■バッテリーは充電と放電を繰り返しているので劣化は避けられない

■まめに専用機器でチェックしてもらうのがトラブルを避けるコツだ

バッテリーはなぜ上がる?

 クルマに長く乗っている人であれば、バッテリー上がりを経験したという割合はけっこう高いのではないでしょうか。その原因はうっかりヘッドライトやスモールライト、あるいは室内灯を消し忘れて長時間放置してしまったというケースが多いと思いますが、なかにはスマホの充電器など、あとから装着した室内のアクセサリーが知らぬ間に電気を消費していて、数週間乗らない間にバッテリーの残量が極少になってしまっていた、なんていうケースも近年では多いことでしょう。

 そして、ここ最近SNSや動画配信サービスで「バッテリーの突然死」というワードをちょくちょく見かけるようになってきていませんか?

 バッテリー上がりの場合は原因がある程度ハッキリしているので、「あー、やっちゃった……」とは思いますが、「突然死」とはあまりいいません。「突然死」というのは「昨日までは元気だったのにねぇ」というように、健康な状態から原因がよくわからずお亡くなりになることを指します。

 なかなかバッテリーとは結びつかない言葉だなと感じましたが、調べてみると、本当にバッテリーを上げてしまうようなことをしていないのに、突然使用不能になってしまった、というケースがあるようです。

 ここではその「バッテリーの突然死」について、その原因や対策を少し掘り下げてみたいと思います。

■バッテリーの突然死は性能向上の副作用!?

 昔からクルマに使われ続けている「鉛バッテリー」は、その内部の化学反応で電気を生み出しています。そのため、内部を構成する電極版やバッテリー液の劣化などで徐々に発電性能が劣化していくのは宿命です。

 エンジンの熱や住んでいる地域の気温、充放電の頻度など、環境の違いでその劣化の度合いは異なりますが、だいたいは徐々に劣化が進むので、「あれ? こないだよりセルのまわりが弱くなった?」という感じで劣化の気配をある程度知ることができました。

 しかし、バッテリーも進化しています。以前なら寿命は2〜3年程度といわれていましたが、近年では4年以上保つものも出ていて、ライフはどんどん長くなっています。

 そして、以前の鉛バッテリーであれば、寿命を迎える少し前から徐々に性能低下の兆候が現れていましたが、近年の製品は、寿命の直前まで基本性能を発揮出来るようになっています。

 そのことが逆に悪い方向として現れたのが「突然死」といえるでしょう。ギリギリまで性能を維持できるようになったことで劣化の兆候がつかみづらくなり、気がついたらもう手遅れだった、というケースが増えているのではないでしょうか。

■バッテリーが劣化するのはなぜ?

 バッテリーの内部では、化学変化で電気が生み出されているということは前述しました。具体的に、簡単に説明すると、+極に電子を放出しやすい酸化鉛の電極版を置き、ー極には鉛を置きます。それをひとつの槽に入れて電解液(希硫酸)で満たします。この+極とー極の間にモーターなどの電力を消費する「負荷」を繋ぐと、内部で反応が起こって電子がー極から+極に流れるようになります。これが電気を生む仕組みです。

 逆に、バッテリーにオルタネーター(発電機)から電子の流れが起こされると、発電とは逆の反応が起こって、内部に電気が蓄えられます。

 内部ではそのような反応が交互に行われているのですが、放電時に硫酸鉛という物質が発生します。それを放置すると結晶化して不活性物質となって電極の表面に付着します。これは「サルフェーション」という現象です。表面に付着した不活性の結晶は電気を通さないので、発電を邪魔する存在となります。

 また、電極はただの板ではなく繊細な格子状になっています。反応を繰り返すと、この細い構成部分が腐食して欠けてしまうことがあります。欠けた部分が増えるということは電気の通り道が減ることになり、結果発電能力が落ちます。

 このふたつが主な原因ですが、ほかにもなかで電極を隔てている「セパレーター」という素材が劣化して短絡を起こし、電気が本来の端子に流れなくなる現象なども絡んできます。

 以上のように、鉛バッテリーは、放電した状態がもっともサルフェーションなどの劣化が進行するとされています。

 劣化のメカニズムは違いますが、ガソリンタンクのなかにガソリンがない状態では、タンク内壁に酸化を促す空気が触れるためサビが進行してしまいます。それと同じように空っぽでの放置はよくないと覚えておいてください。

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