ドリキン土屋圭市さんも太鼓判を押す「しなるホイール」! ホイール交換でまるで走りが変わるホンダアクセスの「MS-050」っていったい何だ? (1/2ページ)

ホイールの剛性は高ければいい……わけでもなかった!

 街乗りレベルで実感できる『実効空力』で既成概念を覆したモデューロを展開するホンダアクセスが、またも興味深いアイディアを形にした。それがリム部とスポーク部の剛性バランスを最適化した、『しなるホイール』だ。ヴェゼルに設定されたMS-050は、ホイールもサスペンションの一部、という設計思想のもとに、ホイールをしならせることでタイヤの接地面圧を高め、タイヤのパフォーマンスを使い切ると説明されている。

 しかし、クルマ好きの間では、「アルミホイールは軽量で高剛性であるほうがいい」という定説がある。それをあえて疑ったアプローチをしたホンダアクセスの狙いとはどこにあるのか。また、具体的に走りはどのように変わるのか。モデューロ開発アドバイザーの土屋圭市さんに説明していただいた。

MS-050(左)とノーマル(右)ホイールを装着したヴェゼル

 そもそも、『しなるホイール』というコンセプトの出発点はどこにあったのだろうか。

「最初は2015年にS660用のモデューロアイテムを開発したときだね。1台作り上げていくなかで、もう少し走りの質感が上がらないかな、っていうところから、ホイールをバネみたいにしならせたらどうだろう? ってホンダアクセスの開発者がいい出してさ。やってみたら、これがけっこう乗り味が変わるってわかった。そこで、クルマの方向性まで大きく変わったんだよね。そして、その後モデューロXシリーズにもその技術を入れていって、開発レベルを上げていったよね。今ではアルミホイールが乗り味を大きく左右するくらいにまで進化しているんだよ」。

MS-050を装着したヴェゼル

 S660用のモデューロアイテムの開発では、さまざまな試作ホイールがテストされたが、ほんのわずかなリム部とスポーク部の剛性バランスの違いでも、走りや乗り心地が明らかに変わったという。そして、剛性は高いほど優れているとは限らないこともみえてきた。

「一般的にホイールは剛性が高いほうがいいって思われてるし、いままではとにかく剛性を上げることばかり考えられてきたよね。でも、そうするとちょっとしたギャップでもショックが唐突に出るし、振動がステアリングにモロ来るんだよ。かといって剛性を落としすぎると、乗り心地はよくなるけどハンドリングのレスポンスが悪くなって、気もちいい走りは犠牲になっちゃう。大事なのはバランスだよね。クルマが本来持ってるボディとシャシー剛性と周波数が合わなくちゃダメ。そういうことをキッチリ突き詰めていかないと、ワンランク上の乗り味にできないんだよね。だから、完全に車種専用になるんだよ」。

土屋圭市さんとMS-050

 その開発は、リム部とスポーク部の剛性バランスを微妙に変えた複数の試作品を用意し、実走テストを繰り返す。まずはホンダの鷹栖プルービンググラウンドですべての仕様を試し、選抜されたものはモデューロの重要なテストコースである群サイこと群馬サイクルスポーツセンターにもち込まれる。汎用品ではないため、それが車種ごとに行われ、費やされる費用も時間も、そして労力も膨大だ。それでも、納得いく結果が得られないこともあったのだとか。


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