ドライバー不足により修学旅行が中止
そして、その影響は観光バスにも広まっている。先日も大手メディアによるニュースでも伝えられたが、ドライバーが用意できないために修学旅行がドタキャンされたというのだ。その理由として挙げられたのが2024年問題。昨今のドライバー不足や時間外労働時間の制限により、貸切バスが手配できなかったというものだ。この例の場合は列車に切り替えたことで大きな問題を避けることができたというが、このようなケースはこれからも大いに想定されることだろう。
しかし、その背景にはほかの理由も隠されていた。とある観光バス会社の社長が、その内情を話してくれた。
「修学旅行のドタキャン騒動についてですが、ドライバー不足や時間外労働時間の制限による影響はもちろん、大きいでしょう。2007年に起きた大きなバス事故によって規制が厳しくなりました。加えて尖閣諸島問題によって中国からの観光客が大幅に減少した時期もあって、貸切バス事業者は撤退や減車を余儀なくされたんです」。
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「そして現在です。いま大幅な円安ですから、外国からのお客様がとても多いのです。俗にいうインバウンドですね。貸切バス業者は、そちらの確保を優先しているフシがありますね。学校関係は運賃が安いですから稼げるインバウンド客を優先するのも致し方ないことだと思います。ウチではそんな不義理なことはしませんが、この問題をクリアするためには国が学校関係の運賃を一部補助して、底上げするのが一番かもしれません」。
「なかにはありえないほどの高額設定でバスを動かしているような業者もありますが、貸切バス業界でもドライバーが出社や帰社した際に対面で安全確認をしなければならなくなりました。貸切バスの場合はドライバーの出社時間が早朝なんていうのはザラですし、深夜に帰社するなんていうのも当たり前のようにありますから。つまり、24時間体制に近いため、ドライバーとは別に事務所にひとり滞在させておかなければならなくなったのです。8時間交代としても3人が必要になりますからかなりの痛手ですね」。
人手不足の業界に追い打ちをかけているだけのようにも感じるこのような事態は、いつまで続くのだろうか。いまのところ働き方改革ならぬ改悪になっている感が否めないが、今後はその対策に向けて、行政側の意識改革に期待したい。