デコトラ名物「箱絵」にデジタル化の波! ラッピングともまた違う「オートボディプリンター」が凄い!! (2/2ページ)

「アナログ塗装」から「デジタル塗装」へ

 しかし、ボディペイントアートをウリにする「デコトラ」の場合は、そう簡単な話ではない。何しろ趣味・嗜好の分野なのだから、経済性・利便性などは二の次だ。ゆえに、いまでも手描きが中心で、求める効果に応じてスプレーペイントを利用するというパターンが多い。ところが、これを機械でやってしまうシステムがある。それが、リコーデジタルペインティングの「オートボディプリンター」である。

 この会社は名前から見てもわかるように、事務機・光学機器メーカーであるリコーの子会社だ。しかし、元はエルエーシーという塗装印刷の会社で、エアブラシタイプのオートボディプリンター・ガスボンベ用プリンター・ボトルプリンター・タイヤプリンターなどを開発していた。リコーの傘下入りをして以降は、粘性の高い塗料を高い精度で遠くへ飛ばすことが可能な、「独自のインクジェット塗装技術」を用い、「アナログ塗装」から「デジタル塗装」への変換実現を目指している。

「オートボディプリンター」とは、同社独自のインクジェット塗装技術を用い、大型トラックのボディなどに、直接印刷できる画期的な印刷システムである。もちろん、印刷面の素材や形状(凹凸があっても可)は問わない。使用するインクは速乾性で、紫外線に強い樹脂塗料。塗装と同時にコート処理を行なうので、3~5年程度の屋外耐候性をもっているのだ。また、アセトンを使用して塗装を消去することが可能で、描きなおすこともできる。

 ただ、デコトラのアートはこの機械を導入すれば誰でもできるというわけではない。塗装印刷のデザインはコンピュータで編集して作るのだが、このときにデコトラ特有のデザインや書体は、簡単に描けないことも多いのだ。この分野に精通した職人が、下絵となるデザインを作成する必要があるのである。

 技術的にはそういったデザインをデータ化して、コンピュータ上で作成することも不可能ではない。しかし、そういったソフトの開発は採算が合わないという。また、ラメやマジョーラといった特殊な塗料を、機械で塗装するのは難しい部分があるのだそうだ。

 デコトラ特有のボディアートデザインは、こういった機械の発展で手軽さを増した部分もあるのだが、熟練の技を持つ職人の手はまだまだ必要なようである。


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