購入後のサポートについても考える必要がある
オランダのDAFやドイツのMANというトラックメーカーは、どちらも欧州では支持されているトラックブランドだが、ボルボやスカニアほどの独創性はもち合わせていない。日本にも優れたトラックメーカーがある以上、独創性がなければ高いだけの輸入トラックに甘んじる可能性もある。加えて日本独自のルールや規制に合致させる仕様を用意する必要もある。
さらに、日本市場に進出するためには、単に新車のトラックを輸出して日本に上陸させるたけでなく、メンテナンスなどのサポート体制も十分に敷かなければならない。投資しても採算が取れるようになるには、長期的に考える必要があり、リスクを考えると欧州から遠い日本の市場でビジネスを展開するのは難しいのだ。
日本に近い中国メーカーのトラックも日本市場には上陸していないが、これも価格は安いものの、輸入コストを考えると価格面のアドバンテージは薄くなるから。それに、環境性能などで日本市場向けに対応するのは根本からパワートレインを見直さなければならなくなる。中国製のEVは日本市場に投入されたが、売れ行きはいまひとつのようだから、普通のトラックを持ち込んでも成功する可能性は低いだろう。
日本のトラック市場に参入するのは、かなりハードルの高いビジネスなのである。逆にいえばそんななかで、スカニアとボルボは健闘しているといえるだろう。少数派とはいえ、日本国内にしっかりとファンを増やしている。
たとえ価格が高くても、日本のトラックより故障が多くても、運転が快適であったり機能が充実していれば満足感は高くなる。スカニアやボルボの戦略は、まさにそれがあるからこそ、なのだろう。