ディーゼルとガソリンでは燃焼の仕組みが異なる
こうした傾向は大型トラックだけではなく、中型トラックでもいえることで、小型トラックではガソリンエンジンに置き換わったケースもある。
どうあれ、「13リッターや11リッターほどもあるならダウンサイジングとはいえないのでは?」とそう思う方もいるだろう。しかし、ディーゼルとガソリンでは燃焼の仕組みが異なるため、単純に排気量だけで考えることはできないのだ。
ディーゼルの場合、負荷に合わせて燃料を噴射するので、軽負荷のときにはシリンダー容積に対して少ししか燃料を燃やさないで、残った空気を熱膨張させて熱エネルギーを有効に使うことができる。
その点、吸い込んだ空気の酸素を燃焼し切らなくてはいけないガソリンエンジンは、吸入空気を絞り込んで燃料を減らすため、吸気抵抗は増えるし熱損失も下げられない。
ターボの過給とEGR(排気ガス再循環)により、実際の排気ガスの量もさまざまに変化するので、エンジンの容積としての排気量はあまり意味をもたないともいえるのが最近のディーゼルエンジンなのだ。昔のディーゼルエンジンと排気量が変わっていないように見えるが、じつは中身や機能はまったく別物なのである。
トラックのディーゼルエンジンは、厳しい排ガス規制と燃費規制に対応しながら、ここぞというときには強力なパワーを発揮して、たくさんの荷物を運び日本の物流を支えているのである。