「危」「毒」「高圧ガス」マークを見るとちょっと怖い気も……タンクローリーって何を運んでて安全性はどうなってる? (2/2ページ)

高圧ガスの運搬には特別な資格が必要

 さらに、運搬の際には「危」マークの表示や、「危険物取扱免状」を携帯した「危険物取扱者」が乗務することも義務付けられているなど、この法律は非常に細かく厳しい規定が多い。しかし、これらは事故などを未然に防ぐことや、万一の際にも大きな災害にならないようにするために必要な処置なのである。

 過酸化水素水など「毒物」を運搬する場合は「毒物及び劇物取締法」の規定に従う必要がある。タンクは耐薬品性を考慮した材質を使用するが、積載物がとくに腐食性の強い酸性・アルカリ性水溶液の場合は、別途に樹脂被覆した耐食性・非粘着性を向上させたものを使用する。これら毒劇物にあたる運搬物を扱う場合は、「毒物劇物取扱責任者」の資格が必要になる。運搬する車両には、「毒」の表示をしなければならない。

 運搬物が気体の場合は、ほとんどが圧力をかけた「高圧ガス」の状態(液化している場合もある)で運ばれる。このとき適用されるのは「高圧ガス保安法」だ。輸送対象ガスが同法に適合したガスボンベに注入されている場合は、平ボディのトラックやライトバンなどで輸送されるが、タンクローリーの場合は車両自体がガスボンベの役割を担うため、その構造・材質などには厳しい規定がある。

 また、万一タンク内の圧力が異常に高まった場合は、安全弁により圧力を下げて爆発を防ぐ工夫がされているのだ。運搬の際には、「高圧ガス移動監視者講習修了証」を携帯した「高圧ガス移動監視者」を同乗させて、「高圧ガス」の表示が必要となっている。

 水・飲料・液糖・セメントなど、危険物・毒劇物・高圧ガスに該当しないものを積載する車両は、道路運送車両法の規定に合わせた構造であれば問題はない。高速道路などでピカピカのステンレスタンクを載せたタンクローリーを見かけるが、これは飲料系の液体を運んでいるものが多い。

 さまざまな規制のなかで特殊な積載物を運んでいる車両だが、法律によって十分に安全性が確保されているので、決して警戒する必要はないのである。


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