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凶器にもなり得るクルマだけにある程度のハードルは必須か? トラックのプロが「AT限定免許」に疑問を唱えるワケ (1/2ページ)

凶器にもなり得るクルマだけにある程度のハードルは必須か? トラックのプロが「AT限定免許」に疑問を唱えるワケ

この記事をまとめると

■大型トラックは日々進化している

■AT化やエアサス化も当たり前となってきた

■大型トラックの進化には懸念点もある

あえて板バネを選択するドライバーも存在

 近年では大型トラックの進化が著しく、ミッションのAT化やサスペンションのエアサス化が当たり前となってきた。そのことによってドライバーの負担が減り、荷物に与えるダメージも少なくなった。そう、大型トラックを運転することがいろいろな意味で容易になったのだが、果たして手放しで喜んでもいいのだろうか。

 トラックのエアサスとは、荷台の水平性を保ちつつ、衝撃を和らげてくれるというとても便利なシステムである。その機能により荷崩れを防ぎ、強い衝撃による貨物事故を減らすことができ、かつ乗り心地もよくなる。まさに至れり尽くせりのシステムだが、現代でもあえて板バネを選択するドライバーも少数派ではあるが存在する。それは重量物の輸送をメインとするもので、重たい荷物の場合は板バネの方が強く、走行性能が高いと感じるドライバーが多いためだ。AT車も同様に、雪道や悪路を走ることが多いトラックドライバーには好まれない傾向にある。

 いくら便利だといってみても、当然のごとく万人ウケするわけではない。そのため、いずれトラックドライバーという職に就く可能性がある人たちには、AT限定免許はおすすめしない。会社によってはMT車を任されることもあるからだ。それ以前に、自身のスキルを上げるためには、AT限定免許というものに頼らないほうがいいだろう。

 昭和中頃までの乗用車は、クラッチが存在するマニュアルミッション、いわゆるMT車が一般的だった。やがて自動でギヤチェンジをしてくれるAT車が増えるようになり、自動車を運転するというハードルが飛躍的に低くなった。そして、1991年にはAT限定免許制度が導入され、あまり技術をもたない人たちでさえも自動車を運転することが可能になったのである。

 そんなAT限定免許は、もともと身障者向けに考案されたものだった。だが、いつのころからか社会全体に広まったのである。AT限定免許はとても便利なものだが、それと同時にドライバーの質が低下したように感じられてならない。事実、MT車では免許取得が困難または無理だった人が、AT限定免許であればすんなり取得できたという話も聞こえてくる。

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