リトラクタブルヘッドライトはスポーティイメージ付与に最適
■ホンダ
国産リトラの本流はホンダともいえる。それは日本車初の本格的スーパーカー、NSX(NA1)にリトラクタブルヘッドライトを採用したから。オールアルミの軽量ボディに3リッターVTECエンジンをミッドシップに搭載。ニュルブルクリンクで徹底的に走りこみ、当時、世界一のハンドリングと称された。その走りはフェラーリやマクラーレンF1にも影響を与えたほど。
その性能に加えて、スーパーカーのアイコンともいえるリトラクタブルヘッドライトを採用したのは大きなポイント。
それだけではなく、ホンダは2代目プレリュードや、3代目アコード、アコードエアロデッキ、ビガーにもリトラを投入。FF車なのにリトラクタブルヘッドライトにすることで、異例に低いボンネットを実現。見た目だけでなく、Cd値0.32と空気抵抗の低減にも貢献した。
■マツダ
日本の自動車メーカーで、もっともリトラクタブルヘッドライトが好きなのはマツダだったかもしれない。
SA22C、FC3S、FD3SのRX-7シリーズをはじめ4ドアの3代目コスモにもリトラクタブルヘッドライトを採用。ファミリア アスティナとその兄弟車のユーノス100もリトラだったが、これはなんだか???
そしてユーノスロードスター。ユーノスロードスターの成功は、安価で誰が乗っても楽しい軽量オープンツーシーターというだけではなく、あのリトラによる愛嬌のあるデザインの効果も非常に大きい。
そして現状、国産最後のリトラクタブルヘッドライトは、FD3Sであり、コンセプトカーとはいえ、アイコニック SPでリトラクタブルヘッドライトを復活させてきたのは、マツダならではのこだわりといえるだろう。
■スバル
スバルでリトラクタブルヘッドライトを採用したのは1台だけ。1985年に登場した初代のアルシオーネだ。アルシオーネはスバルが作った初めてのスペシャリティカーで、これ以上わかりやすいウエッジシェイプはないというほどスタイリングにこだわったデザインに仕上がっている。このくさび型ボディに欠かせなかったのは、いうまでもなくリトラクタブルヘッドライト。
アルシオーネは、このボディを武器に、国産車で初めてCd値0.30を下まわる0.29を達成。マイナーチェンジでは、量販車世界初の電子制御アクティブトルクスプリット4WDも追加された。
■三菱
最後に三菱のGTO。「プアマンズフェラーリだ」「ディアマンテベースの似非スポーツカーだ」と散々悪口をいわれたGTOだが、4WDに4WS、アルミ製4ポット異径対向ピストンブレーキキャリパー(国産初)、ゲトラグ社製MT、アクティブエグゾーストシステム、可変リヤスポイラー&アクティブエアロシステムなど、ハイテク満載のパフォーマンスカーで、それなりに存在感はあった。
NSXと同様にマイナーチェンジで、リトラクタブルヘッドライトから固定式ライトに変更された1台。