この記事をまとめると
■歴代ランドクルーザーのなかでも「50系ランドクルーザー」はやや知名度が劣る
■アメリカやオーストラリアではアウトドアレジャーに人気で乗用車的デザインを纏っていた
■主戦場の海外では乗用モデルとして販売されるも日本ではライトバンとして販売されていた
ランドクルーザーのなかでも知名度が低いランクル50
本格オフローダーとして国内外で高い評価と人気を集めるランドクルーザー。現行の300系や一気に豪華さが増した100系、ベビーデューティモデルとして復活を果たした70系にFJクルーザーのオマージュ元ともなった40系など、新旧さまざまな系統がそれぞれ人気を博している。
そんな歴代ランドクルーザーのなかでも、やや知名度の劣るモデルが存在していた。それが50系(トヨタの系統図では55系と表記)だろう。
1967年8月にFJ45V型の4ドアバンの後継車種として登場した50系のFJ55は、2700mmのホイールベースを持つシャシーに従来型とは異なるまったく新しいデザインのボディを与えたもの。
すでにランクルは、アメリカやオーストラリアではその高い走破性と信頼性、そして低価格によって狩猟や釣りといったアウトドアレジャーのお供として使われることが多くなっていたことから、日本でも事業用だけでなく多角的な使用が予想されるとして乗用車的なデザインを纏っていたのが最大の特徴だった。
実際、日本国内ではライトバンとして販売されていたが、主要な海外市場では乗用モデルとして販売されており、ディーゼルエンジンを用意せず、ガソリンエンジンのみのラインアップとなっていたのも乗用車感を強めるトヨタの戦略だったといえるだろう。
インテリアも旧型に比べると飛躍的に乗用車感の強いものとなり、インストルメントパネルは厚いウレタンパッドで覆われ、メーターも丸型のものを採用。シートも肉厚な発泡レザー製のものになり、乗り心地も乗用車に近いものに改良されていた。
バックドアは従来型にも設定されていた観音開き式のほか、リヤウインドウを電動式とした下開きタイプのパワー式リヤゲートも設定していた点も特徴だった。
ただ、日本ではまだこういったモデルを趣味の相棒として使うということが一般的ではなく、大排気量のガソリンエンジンや大柄なボディをもつ50系は個人ユーザーに選ばれるケースはまだまだ少なく、生産された車両の多くは日本国外向けに輸出されたことで、国内ではマイナーな存在となってしまったのだった。
一方、当初から主戦場とされていた北米やオーストラリアでは、初の本格ステーションワゴンモデルのランドクルーザーとして人気を集めており、当時の文化の違いが日本で50系ランドクルーザーをマイナー車にしてしまったともいえるのかもしれない。