バットマンの「プライベートカー」は超絶ハイパーカー!? ピニンファリーナの「ゴッサム」にため息しか出ない

この記事をまとめると

■ピニンファリーナはバティスタのオープンモデルであるB95をベースにした「ゴッサム」を製作

■バットマンことブルース・ウエインのライフスタイルを表現したワンオフモデル

■同様のコンセプトで「B95ダークナイト」「バティスタ・ゴッサム」「バティスタ・ダークナイト」も製作している

バットマンの世界観を表現したワンオフモデル

 2025年に創立95年を迎えるカロッツェリアの名門、ピニンファリーナ。かつては自動車メーカーの委託を受けてボディの生産を行うまでに成長を遂げた同社だが、そのビジネスは徐々に縮小。そして2015年にはインドのマヒンドラグループ傘下のテック・マヒンドラによって、ピニンファリーナが子会社化されたのは周知のとおり。2018年にはラグジュアリーで高性能なBEVを生産するアウトモビリ・ピニンファリーナ社が、新たにドイツのミュンヘンに設立されるに至っている。

 アウトモビリ・ピニンファリーナからは、これまでに誕生したモデルのなかで、もっともスパルタンな印象を抱かせてくれるのが、イタリアの伝統的なオープンスタイルを意味するバルケッタの「B」と、冒頭で触れたピニンファリーナの95周年を表す「95」の数字で構成される、「B95」のネーミングが与えられたオープン2シーターだ。

 前後して発表された「チンクァンタチンクエ(55)」(1955年にピニンファリーナが製作したランチア・フロリダにインスピレーションを得たモデルであることをこのネーミングは示していた)が150台の限定生産車として企画されたのに対して、やはり限定となるB95の生産数はわずかに10台。その希少価値がはるかに高いのはいうまでもない。

 このB95をベースにしたコラボレーションモデルが、8月のモントレー・カーウイークの期間中にクエイル・ロッジで開催された「ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング」で世界初公開された。「B95ゴッサム」と呼ばれるそれは、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー・グローバル・コンシュマー・プロダクツとのコラボレーションで企画されたもので、それはバットマンことブルース・ウェインのライフスタイルを表現したワンオフモデル。

 ピニンファリーナではさらに同様のコンセプトで、「B95ダークナイト」、「バティスタ・ゴッサム」、「バティスタ・ダークナイト」の各モデルの製作も進められており、これら4台のモデルは今年初公開から85周年を迎えたバットマンを祝して、カスタマーへの販売が行われる予定だ。

 独特な色調を持つグロスブラックでペイントされたボディに、タンレザーで彩られたコクピットのコンビネーションは、スパルタンななかにもラグジュアリーな印象を強く感じさせてくれるもの。ほかにもマットブラックとグロスブラックをインナーとアウターで使い分けたホイールなど、さまざまな独特な演出が施されるB95ゴッサム。

 そのメカニズムはベースとなったB95と変わることはなく、すなわちパワーユニットにはトータルで1900馬力の最高出力を発揮するエレクトリックモーターが各ホイールに組み合わされ、それに電力を供給するリチウムイオンバッテリーの容量は120kWh。DCの270kW充電器を使用すれば、バッテリー残量20%から80%まで、わずか25分で充電は完了するという。

 この4モーターシステムは、もちろんコーナリング時などにはトルクベクタリングの機能を発揮。ちなみに2秒以下と発表された0-100km/h加速は、現在の段階ではイタリア車としては最速の数字だ。

 カロッツェリアからBEVメーカーへ。華麗なる転身を遂げたピニンファリーナは、これからも続々と魅力的なモデルを世に送り出してくれるに違いない。その運動性能はもちろん、ピニンファリーナの作といえばやはりその絶対的な美しさこそが最大の魅力。B95、そして今回発表されたワンオフモデルのB95ゴッサムは、それを見事に証明してくれた作品なのである。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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