いわれてみると「なるほど」な掟
3)すぐ前にタクシーがいたらその通りから離れる
街なかで、空車のタクシーが連なっている光景を目にすることもあるだろう。このような場合は当然ながら、進行方向に手を挙げるお客さんがいても前方のタクシーがお客を乗せてしまうことになる。つまり、前方にタクシーがいるかぎりは二番手以降になってしまうので、そんなときは停車、できれば停車してさらに間を置くか、その通りから離れることがベストとなっているようである。
4)同じことは二度とないと思え
深夜に繁華街でもないところで乗せたお客が、予想もしていなかったのにロング(長距離利用)客だったということもよくあること。ただ、これは「一期一会」と思うようにと指導されているようである。どうしても「この前いたからなあ」と日にちを代えて同じ場所に向かうのだが、同じようにロング客に当たることはほとんどないようだ。
5)情報に敏感になれ
不謹慎といわれるかもしれないが、たとえば山手線がなんらかの事情で運転中止(遅延)になっているとラジオなどで伝えられたら、すぐに最寄りの、とくに山手線しか停まらない駅をめざすのもタクシー独特の動きといえよう。当然山手線は動いていないが、移動したいという人たちがタクシー乗り場に集結し、長蛇の列ができているからである。また、羽田空港で天候不順などにより、鉄道やバスの運行が終了したあとに着陸する飛行機が多数あるといった場合も同様に、情報を聞いたら空港に向かうことになる。
また、出庫する前に、いまならインターネットなどで、その日の都内のイベント情報を確認する運転士もいるようだ。とくに日本武道館や東京ドームでコンサートがあれば、終わったあとには、新宿などへ繰り出す人がタクシーに乗りたがるので格好の稼ぎどきとなる。シーズンオフを除けばプロ野球のナイター終了後もねらい目といえる。
長距離利用はそう多くはないようなのだが、逆に新宿までといった短い距離を複数回往復するといったことも可能なので効率的に稼ぐことができるのである。
タクシーといえば、気楽に街を流してお客を探すのが仕事といったイメージを持たれがちだが、稼ぐ運転士ほど時間帯によってどこにお客が多くいるのかを把握し、走る道も厳選し、情報収集に余念がないなど、緻密に動いているのである。
ちなみに流し営業の多い地域ではタクシー運転士は、常に手を挙げている人がいるかどうかを見るため視線をまっすぐではなく、道路端、つまりやや斜め左を見て運転……、つまりわかりやすくいえば、「わき見運転」をしている傾向にある。いまは煽り運転にもなってしまうので、車間距離に気を付けた運転を心がけていることだろうが、一般車よりも車間に余裕をもたせたほうが安全だ。