このご時世に「電子制御なし」「電動化なし」の1070馬力純エンジンスーパーカーが爆誕! 「操れるドライバーはいるのか」レベルの恐るべき中身 (2/2ページ)

美しさの裏には電子制御のない1070馬力の危うさを内包する

 ミッドに搭載されるエンジンは、ニュージーランドのハートリーエンジンとの提携によって開発、そして製作された6.5リッターの80度V型12気筒DOHC自然吸気。そもそもNilu27は、NILUの開発において電動化に頼らずに、かつ自然吸気エンジンを使用して世界でもっともパワフルなハイパーカーを作り出すことを目指していた。

 実際に出力されるパワーは1070馬力と発表され、ビッグボア・ショートストローク型のV12エンジンは、電気モーターのようなスムースさを実現する一方、ドライバーに絶妙な触感の振動を与えるという。

 このV12エンジンのもうひとつの特徴は、ユニークな「ホットV」の設計にある。これは通常のV型12気筒とはインテークとエグゾーストの位置が入れ替わるもので、それによって熱対策はもちろんのこと、パッケージングや美観にも大きな利点がもたらされる。Nile27が「スネークピット」と呼ぶ、見事な12 into 1タイプのエグゾーストは、その象徴的なパートといってもよいだろう。

 組み合わせられるミッションは、CIMA製の7速MT。これもアナログへのこだわりを持つNile27にとっては当然ともいえる選択だった。

 イタリアのAppTech製ホイールに組み合わされるタイヤはミシュランのパイロットスポーツ・カップ2Rで、サイズはフロントが265/35R20、リヤが325/30R21の設定。ブレーキシステムにはブレンボの最高性能を誇るCCM-R Plusローターと、GT BMキャリパーが使用されている。

 まずは15台のサーキット走行専用モデルからデリバリーが開始されるNILEだが、その先にはもちろんロード仕様が待っている。こちらもその基本的なスペックは変わることはなく、生産は54台の限定で行われ、そのうち4台はユニークなワンオフモデルとして登場する予定だ。

 乾燥重量で1200kg、0-100km/h加速を3秒以下でこなし、最高速では400km/hをスペックシートに掲げるNILE。一切の電子制御システムをもたないこのハイパーカーの限界に挑戦できるオーナーは、はたしてどれだけいるのだろうか。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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