このご時世に「電子制御なし」「電動化なし」の1070馬力純エンジンスーパーカーが爆誕! 「操れるドライバーはいるのか」レベルの恐るべき中身 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2024年8月15日、「Nilu27」からファーストモデルとなる「NILU」が発表された

■NILUは徹底的にアナログにこだわり電動アシストや電子制御を一切持たない

■1070馬力のNILUは0-100km/h加速を3秒以下でこなし最高速では400km/hのスペックを掲げる

突然現れた超ハードボイルドなハイパーカー

 2024年8月15日、その週末には伝統のコンクールデレガンスを控える、アメリカのカリフォルニア州モントレーのペブルビーチ・ゴルフリンクスで、そのハイパーカーはオフィシャルに公開された。同じくカリフォルニアのマンハッタンビーチに本拠を置く「Nilu27(ナイル27)」からのファーストモデルとなる「NILU」がそれだ。

 ちなみにこのNilu27は、過去にはスウェーデンのケーニグゼグで「ジェメラ」などのデザイナーを務めた経歴を持つ、サーシャ・セリパノフ氏が、妻のイナ・セリパノフ氏とともに創立したハイパーカーメーカー。

 Niluとはこの夫妻がもつふたりの娘、NicaとLuciaの名を組み合わせた造語で、それに続く「27」の数字は、サーシャが幼い頃、雑誌の切り抜きでかのジル・ビルヌーブがゼッケン「27」のF1マシンをパワースライドさせているのを見た瞬間、彼の興味とその後の人生が決定づけられたことを意味しているのだという。ちなみに「27」はほかにも、1980年代から1990年代にかけて、F1において数人の伝説的なドライバーが掲げたナンバーとしても知られる。

 世界のハイパーカーはいま、電動化やデジタル化の世界へと着実にその歩を進めているが、サーシャがNILUの開発においてもっとも重要なコンセプトとして掲げたのは、そのテクニカルトレンドへの挑戦、すなわちアナログへの徹底的なこだわりだった。

 はたしてそのコンセプトはNILUのなかでどのように反映されているのだろうか。さっそくデザインとメカニズムの概要に迫ってみることにしよう。

 ガルウイングドアをもつNILUのボディは、タイトな断面としなやかなカーブで構成され、機能的で無駄がなく、そしてもちろんエアロダイナミクスに優れている。それはNILUが「デザインは機能に従う」という哲学をもとに忠実にスタイリングされていることの証明でもある。

 NILUのキャビンは伝統的なサイド・バイ・サイドの2シーターで、理想的な人間工学と安全性を備えていることはもちろん、完璧な視野角を提供するように設計されている。快適性を犠牲にすることなく、驚くほどに低いルーフラインとコンパクトなキャビン寸法が実現されているのも特筆すべきポイントといえるだろう。

 NILUのコア、すなわち核となっているのは現代のハイパーカーにとってはスタンダードともいえるCFRP製のモノコックだが、その後方に接続されるサブフレームには、近年流行のCFRP製ではなく、あえてアルミニウム製のチューブラーフレームを採用している。

 これによってドライブトレインコンポーネントへのアクセスを向上させるとともに熱の排出を容易にし、同時にダブルウイッシュボーン形式のリヤサスペンションとともにメカニカルな美を演出することにも成功した。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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