上位車種の最廉価グレードと下位車種の最上級グレード! 価格差が小さいならドッチが買いか考えてみた (2/2ページ)

軽自動車でも最上級グレードはかなり高価で装備も充実

フリード AIR 250.8万円(ガソリン) vs N-BOX CUSTOM ターボ コーディネートスタイルFF 222.97万円
差額27万8300円

 発売されたばかりの新型フリードは室内空間のゆとり、全席の居住性の良さ、2列目キャプテンシートの用意、快適性、驚異の静粛性、走行性能の良さ、シートアレンジのしやすさなどで、このクラスのミニバンとして最上の仕上がりを見せるコンパクトミニバンだ。ここでは、そんな新型フリードの最廉価モデルとなるAIRのガソリン、FFモデルと、クロスオーバータイプのJOYが加わった、2024年上半期にフィットなどの登録車を含む国内販売台数No.1のホンダのドル箱、N-BOXの最上級、最高価モデルを比較する。

 グレードは フリードがガソリンAIR FFの250.8万円と、N-BOXはカスタムターボコーディネイトスタイルFF、222万9700円とした。そしてその差額は意外に小さく、27万8300円だ。

 もちろん、3列シート、6名乗車がマストというならN-BOXの選択はなくフリードになるが、ともに両側スライドドアを備える両車の後席(2列目席)の居住性を比較すれば、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で、N-BOXは頭上に235mm、膝まわりに最大420mmもの、ボディサイズからは想像もできない驚くべき広さがある(フロアはフルフラット)。

 新型フリードはといえば、同、頭上に215mm、膝まわりに最大360mmのスペースが確保されている。数値には違いがあるが、フリードでも圧巻の広さを、より贅沢でかけ心地のいいキャプテンシートで味わえるのだから、後席(2列目席)の居住感覚では、ミニバンのフリードが圧勝して当然だ(残念ながら新型フリードの売りであるリヤクーラーはAIRグレードには付かない)。

 では、ラゲッジルームの使い勝手はどうか。ここでもボディサイズの違いがモノをいい、フリードは3列目席使用時で奥行き240mm、3列目席格納時の奥行き990mm、幅930〜970mm、最低天井高1140mm。N-BOXは奥行き330~540mm(後席スライドによる)、幅900mm、最低天井高1200mm。つまり、1-2列目席(N-BOXは前後席)使用時の奥行ではフリードの990mmが圧倒、幅方向も広く、荷物の積載性ではやはり登録車のフリードが有利ということになる。

 動力性能を見ると、2列目キャプテンシートの6人のみのフリードAIR FFは1370kgの車重で4気筒1.5リッターエンジンは118馬力、14.5kg-m。WLTCモード燃費16.5km/L。一方、N-BOXのカスタムターボコーディネイトスタイルFFは940kgの車重で3気筒660ccのターボエンジンが64馬力、10.6kg-m。WLTCモード燃費20.3km/Lとなる。

 つまり、燃費性能ではさすがに軽量な軽自動車のN-BOXがターボモデルでも有利だが、 絶対的動力性能で、フリードはガソリン車でも優位に立つ(新型フリードが穏やかな走行性能にこだわっていても)。つまり、登坂、高速走行を含め、余裕ある走りが可能ということだ。

 先進運転支援機能のホンダセンシングについても、フリードはさすがにホンダ最新モデルだけに、後方誤発進抑制機能やトラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)、そしてブラインドスポットインフォメーション(EXグレードとクロスターのみ)と充実度を高めている(ACCの作動範囲は両車ともに渋滞追従機能付きで0~135km/h)。

 こうして見ると、あくまでN-BOXを最上級グレード、最高価グレードで選んだとすればの話だが、新型フリードの最廉価モデルとの差額27万8000円はフリードの内容からして決して大きくはなく、どうしてもN-BOXのサイズじゃないと困る、というケースを除いて、e:HEVモデルもガソリン車もぶっちぎりの完成度を誇り、6名が快適に乗れる、所有する幸せ感もある2列目キャプテンシートを備えた新型フリードを選ばずにいられない……というのが、燃費差をわかった上での筆者の本音である(新型フリードの真打ちはe:HEVモデルだが)。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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