「フォーミュラジムカーナ」に協賛する理由は学生とのつながり
3)ブリヂストン
ブリヂストンは全日本ジムカーナにてタイヤの提供をしている「ユウ選手」の車両や、実際にS耐で使用したあとのタイヤを展示。その溶けたトレッドが、レースの過酷さを物語っていた。
そんなブリヂストンブースで話を聞かせてくれたモータースポーツオペレーション部の鈴木氏は、自身がモータースポーツを担当している経験から、「社会人のジムカーナなどの競技会場には、本当に若者が少ないのが実態です。フォーミュラジムカーナを通じて、大人たちが学生たちにジムカーナを楽しめる場所を提供することはとても大切だと思います」とその思いを語る。
続けて、「弊社はモータースポーツを文化にしたいと考えています。そんな活動をするみなさんのサポートをできればいいですね。そう思ってタイヤの提供も行っています」とタイヤ提供の意義についてまとめた。
ブリヂストンは、この大会にプレ開催時から参加。その際に、従来型のジムカーナはコースが複雑で覚えずらい点でつまづいてしまう人が多いことを憂慮し、簡単なコース設定とすることを提案。この案は実際に採用され、その方針はいままでずっと引き継がれている。
また、そのリクルートの場としての効果については、「去年度の大会で、実際に大会後もコンタクトを取ってくれた学生がいたと人事から聞いています。そのため、採用面でも意義があると考えています。とくに自動車部員はクルマや運転についてスキルと熱意があるので非常にうれしい人材です。社内にもクルマ好きにしかできない仕事があります。クルマの挙動やタイヤのフィーリングに関すること、あるいはそれらをドライバーから聞き取る仕事などは、クルマが好きじゃないと務まりません」と語ってくれた。
4)グッドイヤー
グッドイヤーは米国資本のタイヤメーカー。日本でも著名な同社だが、近年は「クルマファンづくり」をテーマに活動。「Yaris Cup」の際にはブース出展を行い、さらに同乗走行などの機会を設け、その目的達成を狙っている。
そんな同社は、フォーミュラジムカーナについても少し違った考え方を持っている。グッドイヤーがこの大会にもっとも期待しているのは、学生から意見を聞きだすこと。「ファン作り」を行うにあたって、対応に困ったときに、参考になるということだ。
「もちろんリクルートは大切ですが、この機会はリクルートだけで終わらせるにはもったいない。それよりも貴重な情報の宝の山です」
そのうえで、大学生に期待することについてこう語る。
「初年度から比べると、学生と企業の距離感は近づいたと思います。参加学生も3年生以下が増えて、よりリクルート的に訴求しやすくなっていると思います。だいぶ改善されていますね。一方で、もっと学生さんたちにはこのイベントを拡散してほしいです。それはSNSでも、口頭で友達に伝えるのでもいいですが、クルマで楽しんだことを拡散すればイベントも盛り上がり、『クルマファン作り』につながると考えています」
協賛企業は熱意と実利の両方を評価している
今回の取材から、フォームミュラジムカーナへと参加するタイヤ系共催企業は、学生をサポートし、モータースポーツを盛り上げたいという熱意と、クルマに対する情熱とスキルを持った学生を採用したいという両面から参加をしていることが分かった。
2024年で2年目を迎えたフォーミュラジムカーナはまだまだ発展途上かもしれない。でもそれは同時に、これからさらに発展していくことを意味している。これからもさらに大会が発展していくことを願って止まない。