この記事をまとめると
■片側3車線で右車線と左車線を走るクルマが同時に車線変更した場合の優先権はとくに決まってない
■先にウインカーを出して車体が先行していた車両に優先権があると考えられる
■他車にブレーキを踏ませたり回避行動をとらせるような進路変更はNGとなる
3車線道路を走っている場合に起こりうる車線変更時のトラブル
片側3車線の道路で、A車は一番左の車線、B車は一番右の車線を走っていたとして、この2台が同時に中央車線に車線変更をした場合、どちらに優先権があるのか?
結論からいうと、とくに優先権は決まっていない。
過去の判例を見る限り、中央車線のクルマが直進で、そこに右車線の前方、もしくは左車線から車線変更してきたクルマが被せるようなカタチで接触した場合、過失割合は車線変更してきたクルマが70%、直進していたクルマが30%となるのが基本。
一方、車線変更同士の事故となると両車の過失割合は50:50になるのが原則なので、片側3車線以上の道で、2台同時に車線変更を行おうとしたケースでは、どちらかに優先権があるわけではない。
より細かくいえば、先にウインカーを出し、わずかでも車体が先行していた車両に、少しだけ優先権があると考えられる。
というのも、仮に片側3車線で、左右両脇の車線からお互いに中央車線に向かって車線変更して事故を起こしたときの過失割合は、クルマの後部をぶつけられたほうが30~40%。フロント部分を相手のクルマにぶつけてしまった側が、60~70%になるといわれているからだ。
単純にいって、ほぼ同時に車線変更した場合、後ろから当てたクルマに非があると思って間違いない。
道交法第26条2には、「進路の変更の禁止」として次のように記されている。
第1項「車両は、みだりにその進路を変更してはならない」
第2項「車両は、進路を変更した場合にその変更したあとの進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない」
要するに、他車にブレーキを踏ませたり、回避行動をとらせるような進路変更はNGというルールがあるだけ。
レースではないので、こちらのほうがバンパーひとつ前に出ていた、タイヤひとつ分前にだったといい張っても意味はないので、「あれ? 向こうも車線変更しようとしている」と気づいたら、一度車線変更を断念し、安全な間隔、タイミングを再構築してから、改めて車線変更を行うようにしよう。