全体1位のホンダN-BOXに忍び寄る影
それもあるのかダイハツでは軽トラック、日産の軽自動車では軽バンといった商用車の未使用中古車がここのところ目立ってきている(ブランド別新車販売台数稼ぎのため?)。
本稿執筆時点では、ホンダが「プレミアム決算フェア」と銘打って、事業年度締め上半期末となる9月の半期決算セールを積極展開している。9月はホンダだけではなく、ほかのブランドでも、事業年度末の3月に次いで新車が売れる時期となっている。現状ではそれまでに受注したものの納車ができていない受注残車両メインで販売台数が積みあがっているが、ホンダは軽自動車だけではなく、短納期可能な車両が目立つのでとくに販売主力車種となるN-BOXが、9月にどこまで販売台数を積み上げ、そして「2024事業年度締め上半期累計販売台数ナンバー1」になるのかが最大の見ものとなるだろう。
ただ、スペーシアは派生モデルの「スペーシア・ギア」を市場投入した。N-BOXもスペーシア・ギアのようなSUV風派生モデル「N-BOX JOY」を発表している。
スペーシア・ギアはすでに現行モデルである程度の成功を納め、スペーシアシリーズとして販売台数上積みにも貢献している。N-BOX JOYの売れ行き次第(苦戦する)では、スペーシアが軽自動車販売トップの常連になる可能性も出てきている。
登録車ではトヨタ一強のなか、ホンダはフリード、日産はノートやセレナといった看板車種が登録車のみのランキングでトップ10入りしている。コンパクトモデルから大型ミニバンまで、まんべんなく好調に販売するトヨタに対し、得意分野死守と防戦一方になっているように見えてならない。
社会不安が高まる現状では、単にモデル、つまりハードだけの魅力だけではなかなか新車も売れなくなってきているようにも見える。また、新車の買い方も残価設定ローンが普及して久しいなか、「再販価値」も重視して購入車種を検討する人も増えており、そうなると、国内新車販売において圧倒的トップシェアブランドであるトヨタの安定感が消費者へのアピール効果を高めているようにも見える。
さらに、他メーカーより納期混乱がまだ残るなか、販売台数自体も多いので受注残車両(受注したものの納車できていない車両)も多く抱えており、8月のような閑散期であってもコンスタントに販売台数を積み上げることとなり、新車販売が活発化する増販期よりも目立ってトヨタの存在感を強めているのである。