いまの自動運転のイメージを覆す「人型ロボット」による運転! 既存のクルマが使えてメリットだらけだった (2/2ページ)

ヒト型ロボットによる自動運転のメリット

 個人が所有する「マイカー」での自動運転は一般的に広く認知されている、いまのところはあくまでイメージとなるが、自動運転可能なシステムを搭載した新車の普及がメインとなるだろう。しかもマイカーであるので、「自分で運転を楽しみたい」とのニーズもあるから、自動運転自体がマストということもないだろう(市街地はマストなど規制が入る可能性はあるが……)。

ヒト型ロボットが普通のタクシー車両を運転するそんな未来もアリだ

 ヒト型ロボットによる自動運転普及は、バスやタクシー、トラックなどの「働くクルマ」の話と捉えてもらいたい。現状でも働き手不足に悩むのがタクシーやバス、トラック業界。その解決策として自動運転が提唱されているが、それは有人か無人かは別として、自動車がシステムによって自動運転されるものと考えるのが一般的。しかし、これにはシステム搭載車(システムの性格上後付けでの完全対応は難しいのでは?)、それを管理するシステム一式が必要となり、相当な初期投資が必要となる。

 また、導入後はシステムメンテナンスやバージョンアップなど「ランニングコスト」もそれなりの覚悟が必要となる。そこで注目されているのが、既存車をそのまま使った自動運転、つまりヒト型ロボットによる運転である。

「ヒト型ロボット導入最大のメリットはシステムのバージョンアップにあります。個々にエンジニアが行うことなく、生身の運転士の点呼のように一カ所にロボットに集まってもらうことで、QRコードスキャンなどその手法は別として一斉に手間なくバージョンアップ作業を完結することも可能とされています」(事情通)。

 つまり、エンジニアがわざわざシステムアップやメンテナンスをする必要はなく、ヒト型ロボット自らはバージョンアップやメンテナンスを行うことで、ランニングコストでシステムとしての自動運転よりコストを抑えられるのではないかというのである。

 運転士のいない無人での自動運転タクシーが実際に営業運行している国もあるが、誰もいないよりはロボットでもいたほうが、当面は利用者の安心感も高いだろう(世代交代が進めば違和感はなくなるかもしれない)。技術が進歩しているので会話させることも可能だから、乗車するときに「会話可能モード」なども選ぶことができるようになるかもしれない。もちろんロボコップのような見た目ではなく、見た目は人間とほとんど変わらないタイプが好ましいといえるだろう。

 気になるのはその導入コスト。ヒト型ロボットだから圧倒的に安いということはないだろう。ただ、自動運転システムはまだ発展途上にあり、すでにタクシーに導入している地域でも新たなトラブルを生んでいるといった報道が相次いでいる。それなら既存車を利用し、生身の運転士と同じようなオペレーションで稼働することができるヒト型ロボットの可能性に、旅客や貨物輸送業界が注目してもおかしくないものと考える。

 とくに旅客輸送では、導入コストにそれほど差がなければ、演出上でもヒト型ロボットが運転席に座って運転するだけではなく、利用者と会話ができたりしたほうがいいのかもしれない。

 昭和生まれの筆者にしてみれば、現代社会は子どものころ夢みた未来社会をある程度具現化しているように見える。この流れを見れば、そう遠くない先に、おしゃべりなロボット運転士の操るタクシーを利用するといったこともまったく夢物語ではないと考えている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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