この記事をまとめると
■三菱「アスパイア」はエテルナの後継モデルとして1998年に登場した
■カープラザ店向けに8代目ギャランの兄弟車として販売されていた
■2003年1月にギャラン店とカープラザ店が統合されたことでそのまま終売した
ホンダ車っぽい車種の「アスパイア」とは
「アスパイアって車種知ってる?」と聞かれて、ホンダのインスパイアのいい間違いかと思ってしまった人もいるかもしれない。ただ実際にアスパイアというモデルが過去に三菱からリリースされていたのである。
このアスパイアとは英語で「熱望する」や「目指す」といった意味をもつもので、過去には3代目ミラージュのグレード名にも用いられたことがある伝統ある名前だった。
そんなアスパイアは、1998年8月に当時の三菱の販売チャンネルのひとつであったカープラザ店向けの車両として登場しており、1996年夏で終売となったエテルナの実質的な後継車種となっていた。
1988年に登場した初代エテルナは、ギャランの兄弟車でありながらトランクではなくハッチバックをもつ5ドアモデルとして個性を放っていたが、1992年に登場した2代目エテルナは、エクステリアのデザインこそ差別化されていたものの、ボディ形状は4ドアセダンのままだった。
そしてそのあとを継いで8代目ギャランの兄弟車として登場したアスパイアは、前後の灯火類の微細な違いやエンブレムの違い程度の差別化となり、見た目での差異はほとんどなくなっていた。
ただ、ラインアップには意外と差異があり、もっとも大きな点はギャランに存在していた280馬力を発生する2.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載したホットグレードがラインアップされなかった点だろう。
そのほか、ギャランでは幅広いグレードに用意されていた5速MTもアスパイアには用意されず、エンジンは1.8リッター直列4気筒のみ。グレードはVR-Gとヴィエントのふたつのみで、駆動方式を前輪駆動と4WDのなかから選ぶことができる程度となっていた。
その後、1999年5月にエントリーグレードのビバーチェを追加設定し、2000年5月にはギャランと同じくエンジンを新開発の2リッター直列4気筒に置き換えたが、ここでもホットモデルやMT車は追加されることなく、2003年1月にギャラン店とカープラザ店が統合されたことで、カープラザ店のラインアップを拡充するという役目も終わりとなり、そのまま終売となってしまった。
結局、アスパイアは三菱の販売チャンネル戦略に翻弄され、ベースとなったギャランの半分以下の4年ちょっとという短いモデルライフで姿を消すこととなった不遇の1台といえるだろう。