1人1台以上の計算になる国も
ですが、この1.98人という変な数字を軽くぶち抜く国がありました。数値としては0.79人に1台、平たくいえばひとり1台以上のクルマを保有しているわけで、インドの皆さんが奥歯かみしめちゃうわけです。どこの国かといえば、ずばり「サンマリノ共和国」。クルマ好きでなくともサンマリノGPくらいは耳にしたことがあるはず。
ですが、イタリアの端くれ(ちょうどふくらはぎのあたり、世田谷区くらいの面積しかありません)みたいな国が、どうしてインドも羨む自動車保有率になっているのかは謎(笑)。おそらくは、敬虔なキリスト教徒が人口の大半を占めるため、「キリストさまのお導き」とかなんとか理由があるのでしょう。
ちなみに、サンマリノGPはイタリアでのF1が商業的に成功すること、イモラがご当地コースになるフェラーリの思惑が相まって開催されることになったそうですが、当時FIAの大ボスだったバーニー・エクレストンが無責任にも「どうせイタリアで2戦やるならバチカンGPでもいんじゃね」といったところ、ローマ教皇でなくエンツォ・フェラーリから怒声を浴びせられたという噂も。それくらいキリスト教徒は敬虔な信者、ということなんでしょうね。
さて、贅沢なサンマリノの保有状況を羨ましく思っているのはインドだけではないかもしれません。じつはアフリカのトーゴ共和国こそ1000人に対してクルマが2台という猛烈ぶり(笑)。つまり、500人に1台の割合という「もう、クルマなんてないも同然」な環境です。あまり豊かでないのかなと、調べてみるとGDPは世界191カ国中で150位と上ではないけど最下層でもない。しかも、GDPの内容を見れば40%が農業という手堅い経済地盤に加え、リン鉱石、セメント、金といった外貨獲得手段もあるとくれば「ひょっとしてクルマ嫌い?」なのかと。
この謎は、トーゴの南北に細長い国土に理由がある気がします。国土のもっとも細いところは東西に40kmほどしかなく、またコーヒーが採れるという山間部も標高900mがせいぜい。ようするに移動にさほど苦労は生じなさそうという土地柄なのです。となると、現地の人々はクルマよりもバイク、バイクよりも自転車、ペダルをこぐくらいならロバ乗ろうぜ! ロバよりラクダのほうが荷物つめるじゃん! バカめ、ゾウなら荷物だけでなくて家族全員乗せてくれるんじゃ! みたいな理屈かもしれません(笑)。
いずれにしてもサンマリノは贅沢な保有率なのか、トーゴの「クルマがなくてもなんとかなる」環境がいいのか、これからの日本が目指すべきは一体全体どちらなんでしょうかね。