「京急」と「東急」のライバル同士が手を組んだ! 自動運転バスの実証実験で目指す未来の姿とは (2/2ページ)

京急と東急のタッグが注目を集めた

 ここで使用された「遠隔監視システム」は、東京にあるIT企業ソリトンシステムズが開発したものだ。この企業ではこれまで、自動運転に必須となる遠隔監視機能をはじめ、自動運転の運用効率化を図るための遠隔による支援システムについて実用化を進めてきた。遠隔監視機能は、今後進化する自動運転(レベル4以上では必須)には必要不可欠であり、その開発実績が今回の採用につながったのだという。

 この実証実験が市民の間で注目された理由のひとつは、一見ライバルと思える大手鉄道事業者傘下のバス会社がタッグを組んだことだ。しかし、京急(本線)と東急(田園都市線・東横線)はともに京浜間輸送を担う大手事業者だが、営業エリアが完全に被るというわけではない。これはバス事業も同じことで、ある程度住みわけがなされている。

 しかも、陸上交通事業調整法(戦前の法律で、陸上公共交通の総合的な調整を政策的に行なうことを目的とした)下では、「大東急」として一時期合併していたこともあったので、相性も悪くなかったのではないだろうか。トラック輸送でも「共同配送」が叫ばれるぐらいだから、決して不自然なことではない。

 結果的に、この実験は無事に終了したようだ。これからは、さらに異なる実証実験などを重ねて、自動運転、共同運行への道筋がつけられるのであろう。今回実験が行なわれたエリアは区画整備が行き届いた、いわゆるバスが走りやすい場所だ。しかし、バスの運行経路には、歩道はなくすれ違いすら困難な場所も多数存在する。そのようなところでは、自動運転も容易ではないだろう。

 さらに、高齢者や体が不自由な人へのフォローをどうするかといった問題も残る。いまのところ、自動運転は2024年問題など経営側の視点で進んでいる面が多いように思われる。SDGsにあるように、すべての人が幸せに暮らしていくためのシステムになることを期待したいものだ。


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