コネクターを繋ぐだけである程度の検査が終わる「OBD車検」! 一見楽ちんな制度だが「バス&トラック」事業者の「経済的負担」になる可能性もあるってどういうこと? (2/2ページ)

専用ツール導入で運輸業界の新たな経済的負担になる可能性もある

 現在運用されているのはOBD IIで、いわばバージョン2.0にあたる。各自動車メーカーの枠を超えて、共通の接続コネクターや共通の故障コードを使用。故障発生時には、同じように警告灯を点灯させる機能を実現した。これにより、どの車両をどの整備工場に入庫させても、同じように診断することが可能になったのだ。

 トラック、バスといった営業車を扱う運輸業界でも、新たな検査に対応するべく準備を進めている。とはいえ、現実的には対象車両の確認・対象車両の車検スケジュール調整、OBD検査が可能な車検工場の確保といったところで、大きな負担にはなっていないようだ。この検査は車検工場で検査車両に専用のスキャンツールを接続し、専用サイトにつなげば自動的に結果が出るというじつにシンプルなシステムなのだ。

 具体的な検査項目は、排出ガス等発散防止装置、運転支援技術(アンチロックブレーキシステム、横滑り防止装置、自動ブレーキ、ブレーキアシストシステム、車両接近通報装置)、自動運転技術である。将来的には、車線逸脱警報装置、オートライトシステム、先進ライト、ふらつき注意喚起装置、視界情報提供装置、車両周辺障害物注意喚起装置、運転者異常時対応システムなども、対象になってくる可能性が考えられる。トラックやバスは、カメラやミリ波をセンサーとしてさまざまな先進安全装置が組み込まれているから、こういった検査でより安全な運行ができるようになるわけだ。

 多くの場合、これまでも車検前整備の段階でOBD IIによるスキャンは行なわれていたのだから、それが制度化されるとより安心感が増したことになる。ただ、車検を行なう整備工場は専用ツールなどが必要になるため、相応の初期投資が求められる。このことが車検費用のアップにつながれば、運輸事業者の新たな負担になりかねないという懸念がある。

 また、マイナンバーカードにもみられるように、新規導入されるシステムにはエラーがつきものだ。計画的に車両を運用している運輸事業者にとって、エラーによる混乱で車両運用に支障が出るのは避けたいところだ。「OBD検査」の本番まであとわずか。制度がスムースに導入されることを期待したい。


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